第13話 家族の絆
強烈な頭突きを胸に食らわされ、バランスを崩す博樹。
むせる博樹の手から箱を奪う女子生徒。
泰介は、博樹を倒した人物の、この顔は誰だったか記憶を検索する。
押さえつけ様とした瞬間、博樹は逃げ出し、後方の出入口から逃げた。
「先生、いつか篠崎に裏切られるぞ、気を付けな」
「負け惜しみを…昔からアイツは」謎の女子は言う。
去って行く足音。
「姉さん、はい、これ」
春香は箱を受け取る。
「お前は…誰…」
春香の問いかけに答える様に謎の女子は頭から何かを両手で取った動作をし、
「覚えて無いんだね」と泣き出した。
「すまない…」と答える春香の目にも涙が溢れて行く。
泰介は思い出した。3-Aの生徒だ。
「篠崎より年上なのに姉さん?二人の関係は?」泰介にまた悩みが増える。
春香より背の高い3-Aの生徒は頭を一つ春香より下げた位置にし、箱を持った春香の手を包む。
春香を下から覗き込み「私は安藤雅子、三年A組」雅子は続け、
「姉さんに会えて、しかも同じ学校で…私は嬉しいよ」と細く泣いた。
うんうん、と大きく頷く春香。涙が溢れる。
雅子は「姉さん、勝山先生は?姉さんの敵かい?」
春香は何かを思い出し、はっとする。
「彼は大丈夫だ」
春香は泰介の所まできて箱を渡した。
「先生がこれ持ってて」
「どうして?探してたんじゃないのか?」泰介は真意が読めない。
「これは先生とお祖父さんの絆でしょ、なら奪えないよ」
絆、と聞いて少し理解できた泰介。
どうやらこの二人は家族なんだ、だから絆を大事にしたいんだな。
そして春香は敵じゃない、少なくても今は。
隙を見て箱を奪った博樹の方が怪しい。
「わかった、返してくれてありがとう…それに、これは実は違うんだ」
お礼を言われたことに恐縮したのか首をふる春香。
泰介は「欠片見てみるか?」春香は驚き、頷く。
「安藤も」と泰介。春香の方を見る雅子。春香は小さく手でおいでをした。
泰介が鉄のお菓子の入れ物の蓋を開けると、中には古い写真が入ってた。
「お祖父さんと子供の時の俺だ」
仲良さそうな老いた男性とその孫。嬉しそうに見る春香。
泰介が子供の自分が手に持つ物を指差し言う「これが石碑の欠片だ」
春香と雅子にまた強い緊張が急激に全身を包む。
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