幕間【ジェスター教国の不穏】

ジェスター教国のマルタ大聖堂に一同に会するジェスター教国の勇者達。

普段はあまり行動せず前に出ない神官達も集まっている。


「今日は・・・どうしたのかのぉ・・・」

「Odevu verseの猊下と陛下より命令が下りました」


アツシの問いに答える神官の一人。


「おや、 珍しい事も有る物だ」


テルが皮肉交じりに言う。


「【早急に魔王を倒せ】と」

「・・・・・それだけ?」

「えぇ、 それだけです」

「何だいそれは・・・阿保らしい、 そんな事を言う為だけに

我々を集めたのかい? 王様達も暇人だねぇ」


馬鹿にするテル。


「それが魔王側に何か大きな動きが有る様で・・・」

「大きな動き? どういう事ですか?」

「それが分かりません・・・」


勇者達は呆れる。


「情報統制のつもりなのか、 雑過ぎる・・・」

「情報が何も無ければ対策も取れないよ」

「そうじゃのう・・・困ったのお・・・」

「いずれにせよ、 我々は必死になって毎日戦っている

Odevu verseはそれを軽視すると言うのか?」

「わ、 私に言われても・・・」


勇者達の言葉に泣きそうになる神官。


「泣く事はないじゃないか・・・ほらあめちゃんあげようね・・・」

「ありがとうございます・・・」


アツシから飴玉を貰い舐める神官。


「しかしのぉ・・・わしの記憶が正しければこんな事は・・・

初めて・・・じゃないかのぉ・・・」

「初めてとは?」

「王様と教皇様が・・・こんな指示を出して来ると言う事じゃよ・・・」

「だなぁー、 歴史上初めてじゃないのか?」


ヘラヘラとするテル。


「何れにせよ詳しく問い質す必要があると見た

神官の方々、 我々【聖】はOdevu verseに向かいたいと思います

準備をお願いします」

「え、 えぇ!? そ、 それは無理ですよ!! 幾ら勇者様と言えども

Odevu verseに行く事は・・・」

「わしらも行くぞぉ・・・」


アツシもふらふらと立ち上がった。


「えぇ!?」

「お嬢ちゃん達だけでは不安じゃ・・・年長者も付き従おう・・・」

「ありがとうございます」

「ならば私はジェスター教国内での見回りをしたいと思います」


ソロが立ち上がり去る。


「・・・・・じゃあ俺達は平常運転で、 何か有ったら呼んで下さいよ」


テルも去って行った。


「これは・・・波乱の予感・・・」


老年の神官が呟いた。

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