閑話【連帯責任】

「君達も首ね」

「は?」

「え?」


炊き出しを終えて屋敷に戻ったマドルドに呼び出された

福島と京子は眼が点になった。


「ちょ、 ちょっと待って下さい、 どういう事ですか?」

「どうもこうも無いわよ、 貴方達の仲間の山田があんな事をしたんだから

貴方達にも辞めて貰うわ、 当然じゃない」

「や、 山田が・・・? 福島!! 何が有ったの!?」


京子は炊き出しに同行しなかったので訳が分からない。


「実は・・・」


福島は山田が市民を切り殺したという事を伝えた。


「何という事を・・・」

「だから貴方達は首、 寮から荷物纏めて出ていってね

ついでに山田の分の荷物も持って行って」

「そんな・・・何とかなりませんか!?」

「そうね、 減給6割減給なら話は聞かないでも無いけど」

「御世話になりました」

「とりあえず務めた三日分の給料だけ貰えます?」

「・・・・・こちらが逆に賠償金貰いたい所だけどね、 山田の分は無しよ」

「構いません」


マドルドは金貨袋を二人の前に出しそれぞれ出し

京子と福島は受け取ると去って行った。


「全く何してくれてるのよ山田は!!」

「いい所見せようと張り切っていましたからね・・・

普段やらない剣の手入れをしていたから何事かと思いましたが・・・」

「それで山田は何処?」

「警邏の所に居るみたいです・・・」

「・・・・・」


溜息を吐く京子。

荷物を纏めた二人が山田の所に迎えに行った。


「二人共・・・俺が辞めたから辞めてくれたのか・・・」

「連帯責任で首よ!!」

「全く・・・如何してくれるんですか折角見つけた職場なのに」

「ッ・・・仕方ねぇだろうが!!」

「第一何であそこで市民を切り殺したんですか!?」

「イマイチ評価が低いからいい所見せようと思ったんだよ!!」

「そんな事でアンタ・・・」


頭を抱える福島。


「兎も角今日からまた職探しですよ」

「畜生め・・・じゃあ如何する?」

「如何するって・・・」

「ここのゾンビパウダーに付いて嗅ぎまわっているギルドの連中に媚でも売るか?」

「馬鹿なの?」

「山田さん・・・我々はギルドから除名された身なんですから・・・」

「ちっ!!」


ドラック撲滅委員会達も山田を見たら舌打ちをすると思う。


「じゃあ如何するよ・・・」

「とりあえずこの街から出ましょう、 この街は駄目だ

仕事が兎に角無い」

「そうするか・・・クソ・・・余計に出費が嵩む」


とぼとぼと去っていく山田達だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る