第81話【Calais】
カレーの街はジェスター教国に存在する一大医療都市である。
カレーの街の成り立ちは魔王との戦争開始による大量の傷病者の発生に端を発する。
カレーの街の当時の領主ウスタシュは貴族達から街を任されていた豪商で
自身が戦いに行かない事に負い目を感じていた。
その為、 せめて怪我をした者達の今後の人生が少しでも幸多からん事を祈って
カレーの街に大勢の医療従事者達を集めた巨大な医療都市に発展させたのだ
今でもカレーの街では医療行為に対する税金の免除による医療関係の起業のしやすさ
医療行為の発展による街からの補助金等で医療が発達した街とも言える。
更に身体や精神に障害を持った者でも今後の生活の為に障害者雇用にも力を入れている。
「ほぉー、 平民でもこれだけの街を作れるなら貴族要らないんじゃないか?」
モルガナが呟く。
「怪我人が大勢居るね、 治そう」
「待てぃ!! この街の怪我人全員治してたらぶっ倒れるよ!!」
ロダンの無謀を止める花子。
「そんなー、 怪我してる人が沢山居るんだよ!?」
「勝手な医療行為はこの街では厳罰よ」
モグリの医者や未熟な医師、 治療師等の横行を防ぐ為の決まりである。
人々を治療したがるロダンを押さえながら一同は宿屋を取った。
部屋割はロダン、 花子とベルーズ、 カリエとモルガナだった。
「全員同じ部屋で良いんじゃないの?」
「結婚前の娘と同室とは少々性に奔放過ぎるんじゃないか?」
「そうなの? でも三部屋も取るのはお金が・・・」
「お金なら沢山有るだろうに・・・」
呆れる花子。
「兎にも角にも今日は休もうじゃないか
この街ではマッサージや湯治の為のスパなんかも沢山有る」
「よっし、 じゃあ行って来よ」
「勝手に治療をするんじゃないよ」
「・・・・・」
「返事は?」
消えるロダン。
「アイツッ・・・」
「んじゃ後を追いますか」
花子が窓を開けて外に出る。
「ここ二階よ?」
「平気ですって、 彼の追っかけやるんだったらこれ位は朝飯前です」
そう言って花子は窓の外に飛び降りた。
「あの盗賊、 やるなぁ」
モルガナが呟いた。
「体の動きが実に良い」
「確かに、 ロダンの無茶にも付いて来れる」
「個人的には部下に欲しいくらいですね」
「ロダンは婿に、 花子は部下かぁ、 未来予想図が広がるな」
「ふん、 私のあられもない姿を見た時点で既に私の夫だ」
「・・・・・」
バチバチする二人を後目にベルーズが軽く溜息を吐いて去って行った。
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