閑話【家族会議・ミ家】

ブリッスルは親族を自邸の部屋に集めた。


「親父殿、 どういう事か説明して貰えますか?」


ミ家長男のクシュヴィ・ラス・ミが静かに尋ねる。

長男と言う字面から若い男を想像する読者も居るだろうが

ミ家はブリッスルがずっと家督を握っている為

クシュヴィは既に結婚して子を成して子が成人している位の年齢の男である。


「クシュヴィ、 そんなにしかめ面をすると血圧が上がるぞ・・・

もう若くないんだから・・・」

「親父殿が私に家督を譲る迄は現役で居ます」

「後二十年位かの・・・」

「親父殿、 妖怪か何かですか?」

「ほっほ」

「親父ィ!! そんなんじゃ何も分かんねぇよぉ!!」


ミ家十男、 オトコ・マツ・ミが勢い良く尋ねる。


「一体何でシロナの奴は狂っちまったんだ!? 何を知ったんだ!?」

「儂からすると如何でも良い事なんだかの・・・シロナは癇に障ったらしい」

「となるとお父様、 王家が隠していた秘密と言うのは家柄とかの事ですかな?」


ミ家四男タギョウ・ショウ・ミが眼鏡を押さえながら尋ねる。


「そういう事でも無い、 儂からすると『へぇー』と思う位如何でも良い秘密じゃ

国家機密だから言うのは控えるがな」

「・・・・・父上、 そんな秘密でシロナ殿が錯乱するとは思えませんが」


ミ家の長女、 スイカ・ズラ・ミが尋ねる。


「だってなぁ・・・儂からすればそうだったのかー位の秘密じゃったんもん

我々がやる事は何れにせよ、 2年以内に魔王を倒す、 と言う事かの」

「2年以内・・・厳しいですな」


ミ家次男アイア・カマツ・ミが俯く。


「何故じゃ?」

「戦闘向きなスキルを持っている兄上は既に戦える歳ではありますまい?」

「そうだな・・・我がミ式槍術を現状存分に生かせるのは

槍のスキルを持つ馬鹿、 もといオトコと大槍使いのスキルのスイカだけか」

「馬鹿って何すか!? 馬鹿って!!」

「私達二人しか戦闘向きのスキルを持っていないのですか・・・しかし」

「戦闘スキルが無くともミ式槍術を修めている

我々はそう簡単には負けるつもりは無いですよ」


ミ家九男ソメイ・ヨシノ・ミが胸を張る。


「うむ、 今回の秘密で他の家がかなり動くだろうが

ミ家はそこまで焦る事は無いと思う焦らず怠けずに行けば魔王は倒せるはずだ」

「そうなら良いのですが・・・」


タギョウが不安がる。

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