第72話【Exile】

モルガナの放逐は思いの外早く決まった、 ラッパに対しての暴行未遂

(モルガナ本人は殺人未遂だと言って聞かなかったが)

により早々に下界送りにしようと言う事だった。

彼女の手の治療が終わった時点でモルガナは放逐される。

モルガナは動きやすい服装に着替えていた。


「ではこれからモルガナ様の放逐を行いますにょー」

「にょーいにょいにょい」


Odevu verseと異世界を結ぶゲートが有る神殿にやって来たモルガナを見送る為に

でぶ妖精達が集まって涙を流している。


「すまないねおでぶちゃん達」

「もるがなたーん、 いかないでー」

「全部何もかもあいつ等が悪いんだよ、 ごめんね」

「にょーんにょんにょん」

「殴った貴様の方が悪いに決まっているだろうが!!」


ダイヤが激怒する。


「・・・・・すいませーん、 遠くて聞こえないですねぇー?」

「貴様ッ!!」


盾を並べてその後ろに隠れるダイヤ及びモルガナの親族。


「そんな風に盾の後ろでガタガタ震える位ならば最初から見送りに来なければ良いのに」

「そう言う訳にもいかん」


ジルがモルガナの前に出る。

ジルだけは盾に隠れていない。


「なるべく今回の事は公表したくないんだ」

「そりゃあ一家の当主が実の子にぼっこぼこにされた

恥ずかしーい事なんて漏らしたく無いですねぇ」

「貴様ぁ!!」

「盾の後ろで何言っても聞こえなーい」


煽るモルガナ。


「それもそうだが政治的にもデリケートな問題なんだ」

「まぁ良いですよ、 今日こいつ等から離れられるなんて・・・夢の様です」

「そうか、 服は如何だ? 動きやすいか?」

「えぇ、 ドレスの数百倍は良いですよ」

「そうか、 適当に探索者の服装を買ってみたのだが良かったよ」

「いえいえ、 ジル様には本当に感謝しています」

「ジル兄様で良い、 お前が家から追い出されてもお前は私の妹だ」

「有難うございます、 貴方とおでぶちゃん達と離れるのは辛いです」

「私はでぶ妖精と同じ価値か・・・これも持っていけ」


斧を手渡すジル。


「これは?」

「そこそこ良い物を用意した、 下界では必要になるだろう

我が家に伝わるソク家戦斧術、 活用したまえ」

「有難うございます、 何から何まで・・・」

「あぁ、 せめて出来る事をしようと思ってな・・・」


目を伏せるジル。


「そろそろお時間にょ」

「にょーにょー」


モルガナの後ろに異世界に続くゲートが開かれる。


「それでは行って来ます」


ゲートに向かって飛び込んだモルガナだった。

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