第66話【Interview】

鎖で拘束され別室に移動させられたモルガナ。


彼女が目を覚ました後に一体何故ダイヤを殴り飛ばしたのか。


警邏が尋ねる事になった。




「私が父を殴った理由ですか?」


「えぇ、 狂戦士のスキルを得て発狂した、 と言う事でしょうか?」


「狂戦士のスキルか如何かは分かりませんが


私は前々から父や家族、 その他諸々の事は嫌っていました


スキルを得て思いついたのですが私はこのままではいけないと思ったのです」


「このままではいけない?」


「えぇ、 彼等を始末しなければ私は彼等と関わって生きていかなければなりません


それゆえに私は彼等を殺そうと思ったのです


もしも殺せなくてもこのまま彼等と生を共にするよりは良いと思ったのです」


「・・・・・」




理路整然と警邏と会話するモルガナ。


決して自分の父親を殴り飛ばした様には見えない。


寧ろ普通の令嬢よりも丁寧に見える。




「そろそろ鎖を外して頂きたい、 連中を殴り殺さなくては」


「外せませんよ、 何故その理由で外させて貰えると?」


「いや、 我が家の家族はほぼ全員が屑では無いですか


長子のジル兄様を除いて」


「ジル様は除外なんですね」


「普通に良い人じゃないですか、 家族だからとジル兄様を除外するのは


差別的だと思います」


「一体何を言っているのかさっぱりですが・・・


スキルを獲得してそれが影響しての行動では無いと?」


「私が抱いていた恨みをスキルのせいにされては神様も嫌でしょう」


「・・・・・」




警邏は質問を続ける。




「モルガナ様、 貴方が何らかの精神的存在に乗っ取られていないかと言う確認をします」


「私は正気です」


「理路整然とおかしな事を言っている自覚はありますか?」


「いえ、 至って普通の事を言っています、 私はまともです


間違いなく、 一部の隙も無く、 至って冷静で可笑しなことは言っていません」




狂人の文句を語るモルガナ。




「普通の人間はそんな事言わないです」


「それは貴方の希望的観測では無いでしょうか?」


「・・・・・とりあえず事情聴取を続けます」


「これは事情聴取だったんですか」


「そうですよ・・・変な事をいうから話が脱線したじゃないですか」


「変な事を言っているつもりはないのですが・・・」


「まぁ良いでしょう、 これ以上言うと堂々巡りになりますし・・・」


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