50話 奇妙な根っこ
「────イィィィィィヤァァァアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
「「……………………っ!!」」
突如として響き渡った、もはや
「アアアアアアアアアアアァァァァァァァァ…………」
そして、数秒もの間その悲鳴は続き、ようやく収まった時にはチロもゴーダも精根尽き果て、揃ってorzと地面に崩れ落ちた。
「はぁっ、はぁっ……い、いったいなんだったんだ、今のは」
「た、たぶん、こいつが原因だと思います……」
荒い息を吐くゴーダに、チロは目の前に落ちていた
それは、先ほどチロが地面から引っこ抜いたばかりの植物だ。
「これが……? って、なんだこりゃ」
「ええ……まるで人間みたいですよね」
ゴーダとチロは、顔をしかめながらその植物を見つめた。
チロが引き抜いたそれは、葉っぱの部分こそ普通の植物のように見えたのだが、土に隠れていた根っこの部分は人を
「人間というか…………まあ、人間なんだが、どう見てもアレだよな」
「ええ、アレですね……」
しかもその植物の根は、ただ人間の姿に似ていただけではなかった。
まるでゾンビのようにやせ細った顔と体。
大きく開かれた目と口のような穴。
そして、顔の部分を左右から挟み込むように添えられた手。
それはまさしく……
「「ムンクの『叫び』……」」
全裸かつ頭部はパイナップルヘアーになっているものの、その姿はあまりにも有名な絵画の登場人物に
「お前……それ食うのか?」
「……せっかく採取しましたし、一応は」
どう見てもその植物────『ムンクさん』は、うまそうには見えなかった。
しかし、これまでに毒キノコを食べ、虫を食べ、ヒルヒルですら一度は口にしてみた経験があるチロだ。
手に入れた食材(?)を、食べることもなく捨てるという選択肢は、彼にはなかった。
「そうか……食うのか……」
ゴーダはその無駄なこだわりに若干引きながらも『こいつ、ほんとに
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