92日目

「かなり、状態が良くありません。

 今週、いつどうなっても不思議でない状態です。

 ただここから急回復された患者さんの例も昨年からありますので、最後まで希望を捨てられない様に……我々も彼の頑張りを出来る限りの全力でサポート致しますので」


 それを聞いた後、おかあさんは顔を押さえて声を殺して泣いた。

 隣に居たおとうさんが力づける様に肩を抱いた。


 弟が普通に健康体で罹患したのだったら

 ひょっとしたらエクモとかの選択肢も選べたかもしれない。


 

 いや、それよりもだ。


 アタシは、現状が現実なのか本当に定かじゃなかった。


 ほら――。


 だから、その後の記憶は曖昧だ。


 気が付けば、自分の部屋でアタシは小説をキーボードで打っている。


 どうしたんだろう?

 画面がぐにゃぐにゃと歪む。


 上手く

 画面が

 見えないよ。


――異世界転生まで

  あと8日――

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