15日目
折角の休日というのに、朝から俺はパソコンを忙しく閲覧する。
「入るわよ」「ガチャ」「コンコン」
……最早、ツッコむまい。
「はい、おはよう」
「……おはよう……」
まぁ、挨拶がきちんと出来る所はすばらしい。
姉は、それ以上何も言わずに許可も得ず後ろから俺の前のパソコンのモニターを覗く。
「ちょっと‼ これ、カクヨムじゃない‼
なに、アタシの作品をおいて人の女の作品を読んでるのよ‼ 」
大丈夫、想定内の反応だ。
俺は、その先の言葉を遮るように姉の前に印刷したプリントをサッと示した。
「なによ、これ……」
「こないだ、集計した
今の中学二年生が欲しているラノベ、小説アンケートの集計結果」
それを聞くと、姉は「バッ」とそれを奪い取り、眼を走らせた。それを横目で確認しながら俺は言葉を続ける。
「基本的に、男子は男性の――女子は女性の作家の作品を推してる。でも、その中に異性にも人気を博している作品がある」
俺は大きく息を吸うと椅子をくるりと姉の方に向けた。
「そう言った作品は、すべからずとても文章が丁寧な作品だった。
今、それを踏まえてカクヨムでも人気ランキングの作品を女性作家、男性作家に分けて読んでたところだ」
「そうか、そういった作品をパクればいいのね‼ 」
姉の瞳が輝いたので、俺は首を横に振った。
「パクってどうするんだよ。
真似るのはいいよ。でも、展開や扱う言葉は自分の色を出さなきゃ話にならないだろ」
「よし‼ こうしちゃいられない‼ 」
姉は、そもそも何をしようとここを訪れたのか定かでないまま部屋を飛び出していった。
俺は、沈黙のままその様子を見ると、再度パソコンに向き直ってモニターに映った活字に瞳を泳がせた。
――異世界転生まで
あと85日――
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