41日目 居場所⑨
〈のぞみ〉さあ!取れ取れ!金を拾って、ひざまつけ!拾え、拾え!はははははははほほほほほ!!
うっ!げほ!げほ!
椿と要は動かなかった。椿は、歯を食いしばってのぞみちゃんを睨みつけるようにみていた。
要は、目を尖らせて体を震えていた。要は拳を強く握った。
〈のぞみ〉!なんで!拾わない!
その瞬間、要は動いた。のぞみちゃんに向かって、のぞみの顔におもいっきり、ビンタした。
そして、のぞみはぶっ飛んでしまった。
〈要〉おい、こんな金で私らは買えないよ。友達は金じゃ買えないよ、かけがえのない存在でしょ?いい?のぞみ、あなたは本当はわかってる。こんなバカなことで自分を救えないって
そういいながら、要はのぞみをぎゅっと抱きしめた。
〈要〉もういい、こんな事しなくても、もう友達だよ
〈のぞみ〉なんで!!離せよ!なにが友達だよ!一体なんなんだよ!そんな簡単に友達ができるなんて!
〈椿〉のぞみちゃん、あんたは居場所を見つけたかっただけだろ?
〈のぞみ〉なに?
〈要〉のぞみはすごく優しいし、いい子だよ。友達って言うのは、今みたいに困ってる時に助ける、間違っているときに味方してくれる。これは間違いっていってくれる者の事だよ。気持ちはわかる。私も前に親しい友達に裏切られて、色々あった。けど、私は椿やみんなに救われたよ
そういうと、のぞみから離れて、眼を見つめた。
〈要〉さっきのこと本当はそんな事言いたくないはずだよ、嘘つくなよ!
〈のぞみ〉嘘じゃない!本当よ!
〈要〉違う!絶対嘘だ!だって!じゃなんで、いつもあんなにニコニコできるの?遊んだ時だって、楽しんで、笑って、一緒にアイス食べたり、映画いったりしたじゃん!
本当にそんな事思ってるならあんな笑顔にならないよ?
〈のぞみ〉それは、でも!あなたは私の友達じゃない!
〈要〉じゃあ!今、友達になろう!
〈のぞみ〉は?なに言ってるの?お金いらないの?
〈要〉あんなお金いらんわ!お金は自分で稼ぐものだよ。それに、お金なんかなくても友達はできるよ
〈のぞみ〉本当にバカなの!?友達になれば、私って居場所も見つかるし、あんな大金ももらえるのよ!
〈要〉バカはどっちだよ!いらんわ!そんな金!バカって言ったほうがバカでしょ!
〈のぞみ〉はあ?私がバカって言いたいの!?
〈要〉そんだよ!あんたはバカだよ!
〈のぞみ〉なに!あんたのほうがバカよ!バカバカバカバカバカ!アホ!
〈要〉いや!!あんたのほうがバカバカ!っていうかどさくさに紛れてアホっていうな!
〈のぞみ〉なに言って...
と、次の瞬間要はまたのぞみを抱きしめた。
〈要〉バカ...もういい..
要は涙を流した。悲しくて、目を赤くする。
〈のぞみ〉なに泣いてるの?あれ?...
のぞみはなぜか涙が出た。
ずーと、泣いてた。なぜか涙が出た。
椿はその光景を静かに見ていた。
ー 41 居場所⑨ ー おわり
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