38日目 居場所⑥

日曜日、要は椿の家に向かった。


すると、椿の家に向かう途中に知らない男性に声をかけられた。


〈北間〉あの


〈要〉ん?えっと?だれや?どうした?


〈北間〉僕、この前一緒にいた、のぞみの弟です!


〈要〉え!?のぞみちゃんの弟?おったんや


〈北間〉はい、理久(りく)といいます。それでお姉ちゃんの話なんですけど


〈要〉おお、のぞみちゃんがどうした?


〈理久〉あの、その、


と、理久はもじもじしながら中々口を開かない。


〈要〉これから用あんねん、さっといってもらいたいねん!


〈理久〉す!すみません!お姉ちゃんをどうか!助けてください!では!すみません


と、理久は要にびびったのか、慌てて話て、走って行ってしまった。


〈要〉なんやあいつ?お姉ちゃんを助けて?どういうことやねん


〈要〉なんやねん、とりあえず椿まっとるで、行くか


要は椿の家に向かった。


そして、家に入ると、早速、話した。


〈椿〉なあ、昨日の事なんやけど


〈要〉昨日?それがどうした?この辺あんなことめったにないけど、ここも街やから、あんなやつもおるよ?


〈椿〉わかってる。けど、なにか引っ掛かるところがあるんだ


〈要〉引っ掛かること?


〈椿〉そう、もし昨日の事が、仕組まれていたことだとしたら?


〈要〉は?なにを言うねん!あたしらが遊んでんの私とお前とのぞみちゃんしかしらんやん!


〈椿〉そう。この中にいたら?


〈要〉は?それはないやろ?


〈椿〉ああ、あり得ないことだ。けど、気になることがあった。お前もしかしてトイレ少し戻ってくるの、遅めか?


〈要〉は??な!なに聞いてるの!?変態!


〈椿〉バカ!そういう意味じゃあない!


〈要〉...まあ、遅いけど...それが?


〈椿〉だいたいどれぐらいだ?10分ぐらいか?


〈要〉は?いや、まあ遅くても20分以内には


〈椿〉そうか、おれは10分以内には絶対戻れる!


〈要〉そりゃ!そうやろ!?で?こんな話するのに、私ここにきたの?


〈椿〉いや、違うんだ。のぞみちゃんのことだ。たしか何回かトイレいったよな?


〈要〉まあ、何回か...そういえば、最後のカフェだけいつもより遅かったような...?


〈椿〉そうだ。なぜか最後に入ったカフェのトイレでは、遅かったんだ。俺は勘違いしたんだ


〈要〉なにを?


〈椿〉お前だよ、お前のトイレから戻ってくるのを早く感じたんだ。なぜか?のぞみちゃんが遅かったからなんだ。だから、要がトイレに行ったとき早いって思ったんだ。けど、要は女だ、男みたいに早くでてくるなんて、そうめったにないだろ?げんにさっき要は、20分以内って言った


〈要〉そやな、それで?


〈椿〉いくつか、あってほしくないけど、昨日考えて思ったことは、のぞみちゃんはなぜ最後のカフェでのトイレがいつもより遅かったのか?

なぜ、急に公園に行きたいと言い出したのか?

なぜ、俺が殴られた時、少し様子がおかしかったのか?あそこでそんなやったぞみたいな顔はまずしない


〈要〉ちょっとまって!のぞみちゃん、あそこで笑ってたの!?


〈椿〉いや!笑ってないよ、一瞬だよ一瞬だけ、少し微笑んだ表情をしたんだ。かすかに覚えてる


〈要〉じゃあ!あの男たちを呼んだのって


〈椿〉まだ、わからない。本人に聞くまでは


〈要〉うん。あ、そういえば、さっき椿ん家いく途中に男の子に声、かけられたんやけど、のぞみちゃんの弟っていってた


〈椿〉なんだって!?で?なにか言ってたか?


〈要〉うーん、なんかもじもじしてて、急いでるからはよ言って!って言ったら、お姉ちゃんを助けてってだけ言って、どこかに行ってしまったんよ


〈椿〉それ、お前が怖かったからじゃ?


〈要〉うるさいわ!そんなことはええねん!


〈椿〉そ、そだな。でもお姉ちゃんを助けて、か。

なるほどな!よし、明日、のぞみちゃんのところ行くぞ!


〈要〉え?でも、もし本当にそうだとしたら...


〈椿〉大丈夫だ!おれもいくから、少し話すだけだ


〈要〉わかった


椿と要は、明日、のぞみちゃんのところへ行くことになった。


ー 38 居場所⑥ ー おわり

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