閑話 ダンジョンライフワーク Ⅴ
地下ルートで水の契りの取得を重ね、ようやく目的のものが手に入ったと安心していたところにアナウンスが入る。
どうやらお義父さんが何かをしたようだ。
他の誰かが何かをしたとは考えられず、システムを開けば案の定書き込みがあった。
解放された市場は一つ。
そこには書き置きとアイテムの提示だ。
「これをその対価で受け取っていいものか」
書き置きは簡略に僕宛て。
そして置かれた素材は喉から手が出るほど欲しい素材。
そこにあったのは霊樹の木片である。
奇しくも五個。対価はそれによって得られる情報と出ていた。
こうも期待を掛けられては、答えねばならないだろう。
即座にダンジョンへゲートを開いてもらい、片っ端から完了した情報を開けていく。
<条件を満たしました>
<建築物を3つ作ろう達成>
<DPを+1000獲得しました>
<建築物を5つ作ろう達成>
<DPを+3000獲得しました>
これでDP+4000。
10000には程遠い。
しかし僕には秘策がある。
「モンスター生産場を5つ撤去。祭壇を作るよ」
「はい、マスター」
ヤディスが新たに従えたショゴスに指示を出し、建築物を撤去していく。これでスペースを確保した。
祭壇を作るのに必要なDPは100とお安い。
鑑みるに、これは階層ひとつあたりにかかる費用か?
それとも別の素材の入手が鬼畜難易度だからだろうか?
他のに比べてお安いのでひどく浮いて見えた。
素材を投げ込むとロックが解除される。
指定する神格を設置してください。
【注意】
拠点に置いている神格を移動させると、その拠点は無防備状態になってしまいます。くれぐれもご注意ください。
ここで注意書きが浮かび上がる。
他の拠点からの引っ張ってくることができるようだ。
その為のモンスター量産施設か?
なら未来的にはダンジョン同士で神格のやり取りもできそうだ。
夢が広がっていくね。
「ではグラーキを配置する」
<配置するグラーキを選択してください>
グラーキA_【邪悪】攻:◎ / 守:△ / 特:◯
グラーキB_【普通】攻:△ / 守:◎ / 特:◯
グラーキC _【正義】攻:◯ / 守:◎ / 特:△
これは……同じグラーキでも特性が違うのか。
◎が最高だとして、△が通常より落ちる?
攻は攻撃的、守は守備特化。
特は特殊攻撃だろうか? それとも配置モンスターの指揮に関わる数値?
どちらにせよ、これをどう配置するか如何でダンジョンの本質が決まる気がする。
僕は正義気質のグラーキを配置する。
<神格の配置を確認>
<ダンジョンのスペックが変更されます>
<特性がノーマルから侵食に変化しました>
<フィールドが地上から水中に変化しました>
<眷属がショゴスからショゴスゾンビに変化しました>
<ショゴスゾンビの知性が50%上昇しました>
<条件を満たしました>
<初めての神格配置を達成!>
<DPを+10000獲得しました>
やはり、これが大量獲得の秘密だったか!
<フィールドが変化した為、コスト値が大幅に上昇しました>
<コストが100から700に増加>
<レベルが上がりました>
<レベルが上がりました>
<レベルが上がりました>
<レベルが上がりました>
<レベル5になろうを達成!>
<DPを5000獲得しました>
想像以上に手元にDPが転がり込んでくる。
そしてコストの上限、部屋数の拡大。
レベルが上がったことによってDPの獲得値も上がっているのか?
わからないことばかりだが、お義父さんにお答えする以上、ここで事実を解明しておく必要があるな。
そして一つのルームにおける配置数は9から45にまで変化した。
レベル1で9なら、レベル5で45。
レベル毎に9づつ増えていくのだろうか?
しかしコスト1000を超えるグラーキを配置するにはまだスペック不足か。
配置するモンスターも捕まえてこないとね。
このままでは伽藍堂だ。
折角の広い空間も無駄に見えてくる。
間仕切りが欲しいところだね。その為にもトラップの類も欲しいが、残念ながら素材がまだ足りない。
そういうところはDPでなんとかして欲しいものだけど、そこまで甘やかしてはもらえないようだ。
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⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎ ⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎←入り口
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ルームは微妙に右に伸びた感じか。
5×5が最大数で、もう一つのルームに通路をつくって一つ消費。そして案の定入り口に通路は置けないようだ。
僕は5×5の中央にグラーキを置き、その周囲に新生ショゴスゾンビの生産施設を配置する。
グラーキも家族や仲間に囲まれて暮らしたいに違いない。
これが僕からの彼への労い……になるのかな?
結構身勝手に狩ったからね。
素材を集める関係上、彼らの屍を大量に築き上げた後ろ暗い経歴がある。
溜飲を下げてもらう為にも手を尽くそうと思う。
さて、その為にも階層+も解放してしまおう。
いざとなった時にまた10000ポイントも貯めるのは大変だ。
それにせっかく折角を集めてもらったティンダロスの猟犬の牙、ここで使わないのは勿体無いからね。
そーれ。
素材が余ってるから。
実際に集めに行くとしたらそれなりの覚悟を決めていく必要があるのだが、運良く集まった素材をぽいぽいと放り投げる。
DPを消費して、階層+を解放した。
「えー、なになに? 一階層増やす毎に5000ポイントづつDPを消費する?」
とんだDP喰らいであるようだ。
これは選択をミスったか?
「マスター?」
「大丈夫だよ、ヤディス。どの道解放するんだ。後で知るより今知れて良かったと考えよう」
僕は幻影に虚勢を張った。
ヤディスには見透かされてるように微笑まれたが、気にしない。
グラーキのためにもひとつ階層を増やし、二階建てにする。
階段を降りだ先には5×5のフロア。
どうもレベルアップで拡大するのは一階層に限る話のようだ。
ルーム+は階層を増やした後に付け加えるシステムだったか?
それはともかく新しく住居を作り、ショゴス達の住処とする。
中央には冒涜的なグラーキの像を作らせよう。
こんなものかな?
増えたDPも使い切った。
厳密にはまだあるが、DP以外で使える素材の方が切れたのである。
「ショゴスたち喜んでる。マスターがご主人様でよかったって」
「グラーキの方は?」
「ちょっとマスターにそっけない。調教する?」
ヤディスが怪しい光を目にたたえている。
普段のあどけない笑顔はどこへやら。
こっちが本性かと身構えるが、僕は片手で制して首を横に振る。
「僕と彼とで少し意識に差があるようだ。もし僕が彼の立場だとしたら少し悪い事をしてしまった気持ちがある。僕からお話しするよ」
「はい」
そのあと説得を続けること30分。
最終的に暴力に屈したグラーキは、渋々と僕の指揮下に入ることになった。
ヤディスも僕の姿勢にご満悦。
どうやら躾けるなら強気に言って欲しかったようだ。
あれ? いつの間にか僕はヤディスに操られている?
深く考えないことにした。
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