消えた夏の日

第二章:殺意の蹂躙

「ああ、なるほど。マネージャーはいないわけじゃないけど、今日は一人だよ。俺の場合、一人で活動してきた時間が長いから、マネージャーとのやり取りはほとんど電話とかメールで済ませるようにしてるんだ」

「でも、こういった大きなイベントをやる時なんかは一緒に来るものではないんですか？」

「うーん、まぁ、普通はね。一人の方がさ、落ち着くんだよ。余計な気を遣う必要もないし、仕事もしやすい。俺のマネージャーも長い付き合いでそれわかってるから、今は何も言わないしこっちのやり方に合わせてくれてるんだよ」

　草本の話す内容に、絵夢は納得したという風に頷いてみせた。

　有名人というのは誰でもマネージャーを連れて行動していると思っていたが、例外というものもあるらしい。

「草本さん、リハや打ち合わせとかなんでも効率的にこなすもんね。マネージャーさん立場ないでしょ？」