第二章:殺意の蹂躙

 そう言って、草本は肩を竦めた。


 そして言葉を続ける。


「はっきり言ってびっくりしたよ。スタッフ用男子トイレの水が出ないとかで全階使用禁止になっててさ、スタッフにどうしてるのか聞いたら客が使うトイレ利用してるって言われて。仕方ないからそっちに行って、俺がトイレから出るのとほとんど同じようなタイミングでホールの入り口から客が逃げるように出てくるんだもん。本当に、あれは驚いた」


「ステージとか、中の様子は見なかったんですか?」


「見るも何も、あんなに人が飛び出してきたらホールに近づくのも大変だよ。まぁ、若干人の流れが収まってから覗いてはみたけど、幕が下りてて何も確認できなかった。その後は、警察だって言い出した人がいてその人に従って待機してたから、さっぱり状況がわからなかった」


「あたしたちも近くにいたはずなんですけど、お互い気がつきませんでしたね」

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