第二章:殺意の蹂躙

(初めに感じた違和感のせいなのかな。事故にしてはどこか釈然としない感覚があったから)


 プロの手品師があんな最悪なミスをするなど、普通はあり得ない。


 ましてやあれはメインマジック。下準備だって入念にしていたはずだ。


 都合の良い憶測と言われればそれまでだが、そういったいくつかの小さな疑問が頭の中に浮かんだことで事件に対する混乱が中和されたような気がする。


(あとは、周りの騒ぎが大きかったせいで逆に冷静になれたってこともあるかも)


 なんにせよ、あの場で落ち着いて行動できたのは幸いだった。


 ただ取り乱していたら自分で鍵を発見することはなかったし、嶺垣に光野の死体を間近で見せてしまっていたかもしれないのだ。


 もしそうなっていたら、今頃は嶺垣も天寺たちの二の舞になっていたことだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る