第二章:殺意の蹂躙
スタッフでもなんでもない人間がステージ上で死体を眺めていれば、当然怪しまれることは間違いない。
自分はただの観客で、事故に気づいて咄嗟的にステージへ上がってしまいましたと言って通用するだろうか。
(これは面倒なことになるな)
ライヴに付き合うだけの予定が、とんだ大誤算だ。
レイニーのメンバー達を控え室へ戻した七見は、周囲にいたスタッフにステージから下りるよう指示をとばした。
係のスタッフが装置を止めたのか、足元を漂っていたドライアイスももう消えている。
ステージに残っているのは、七見と絵夢。そして、光野の遺体だけになった。
「雨池さんも、とりあえず別の場所に移った方が良いのでは?」
「ええ……」
曖昧に頷いてから、絵夢は七見へと顔を向ける。
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