第二章:殺意の蹂躙

 みんな、とういことは神川と羽舞もすぐそこにいるわけか。


 これだけ周りが騒いでいれば、駆けつけるのも当然と言えば当然かもしれないが。


「深玖ちゃん、悪いけど控え室に戻るついでに的場さんを呼んできてくれないか?」


「は、はい……」


 困惑した神川の声が聞こえた。


 まるで負傷者をかばうような格好で七見は天寺を神川たちの元へ連れて行く。


「光野さん、怪我でもしちゃったんですか?」


 心配そうな日向の声。


「いや……、詳しい説明は後でするから。優衣ちゃん、悪いけど美夕ちゃんを頼むよ」


「わかりました」


 舞台袖を隠す垂れ幕の向こうで交わされる会話を聞きながら、ふと絵夢は今後のことを考えた。


(今からここに警察が来る。ひょっとして、僕も事情聴取されるのかな……)

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