第二章:殺意の蹂躙

 この方法が、絵夢の考えたトリックの答えだった。


 一見単純過ぎるこのトリックだが、大音量のBGMやマジックそのもののインパクトを全面に出すことで誤魔化している。


 つまり、何か凄いインパクトのあるマジックを見れたという一種の満足感のような気分を与えることで、マジック本来の単調性を隠す、といった感じだ。


(これで正解だと思うけど、本人へ答えを聞くことはもう無理だ)


 ステージの床を調べれば隠し扉が見つかるだろうが、今はへたにいじるわけにはいかない。


 おそらくこれから警察が来て捜査をするはずだ。


「さすがにこれじゃあ、ライヴは中止にせざるを得ないな……」


 苦虫を噛み潰したような表情で、七見が呟く。


 ちらりと彼を見ると、口元を押さえたままなるべく死体を見ないように視線を逸らしていた。

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