第二章:殺意の蹂躙

 吊っていたワイヤーを解除された木箱が、吸い込まれるように剣山へ向かい落下した。


 剣山に落ちた木箱はあっさりと形を崩して四散し、中にいたはずの光野だけが忽然とその姿を消している。



 そうして、最後のマジックは幕を閉じる――はずだった。



 落下した木箱が、その衝撃でバラバラに壊れた。


 ドライアイスの煙がふわりと舞い上がると同時、大音量に紛れ鈍い嫌な音がステージ上で僅かに響く。


 そして、その四散した木箱の中から出てきたモノは、落下の勢いそのままに巨大剣山に貫かれて動きを止めていた。


「きゃあぁぁぁぁぁぁ!!」


 ゾッとするような悲鳴が会場中に響きだす。


 左右の舞台袖からアシスタントの男達が慌てたように飛び出してきた。

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