第二章:殺意の蹂躙

 中は空っぽ。紙くず一つ入っていない。


 木箱が元の位置へ戻される。


 次に、別のアシスタントが手錠を持って現れた。


 木箱の隣に立っていた光野の両手を後ろ手に拘束し、両足首にも同じように手錠をかける。


 さらには、白い帯状の布をポケットから出すとそれを猿ぐつわとして光野の口を塞ぐ。


 その間光野は、落ち着いた様子で準備を進めるアシスタントたちを眺めていた。


 最後に観客席へ余裕の表情を見せると、光野は体格の良いアシスタントに抱きかかえられて木箱の中に収まる。


 途端に、今まで以上に高い音量のBGMが流れ出し、座っている椅子がびりびりと小さく振動するのが伝わってきた。


 木箱の蓋が閉じられ、前後左右四ヶ所ずつ釘が打たれて開閉が不可能な状態にされる。

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