第94話 擬似生命

「突然だがゴーレムを改造しようと思う」


 豆腐ハウスに遊びにきているミニアの前に文字を出した。


「おもしろそう」

「まずは魔道具を一つ作る」

「ふんふん」


 ミニアを助手に魔道具を作る。


char main(void)

{

 return('Y');

}


 このイメージで作った。


「これ何に使うの」

「起動してみると良いよ」

「はいとしか答えない」

「そうだな。それが良いんだ。お次は魔道具を俺の手の上に乗せてくれ」


 スライムを心臓部にするゴーレムでは操作にタイムラグが生じるし、細かい動きは出来ないしで使えない。

 ゴーレムを改造するにあたって肉体と魂この二つの要素を考えた。

 どちらも魔法で生成が可能だ。


char magic_stone[100]; /*魔石100立方センチ*/

void main(void)

{

 TEL *tp; /*体の定義*/

 int i; /*カウンター*/


 tp=topen("temp"); /*仮体を開く*/

 magic_stone[99]='\0'; /*終わりを入れる*/

 tputs(magic_stone,tp); /*仮体を作る*/

 tclose(tp); /*閉じる*/

 for(i=0;i<100;i++){

  magic_stone[i]=0; /*魔石消去*/

 }

 system("copy /-Y temp クラモナミソナリナトヌ.body"); /*体創造*/

 system("copy /-Y テニツチスシ.soul クラモナミソナリナトヌ.soul"); /*俺の魂を擬似生命の魂にコピー*/

}


 このイメージの魔法を実行した。

 問題は書き換えの時の返答だ。

 魔石は返事しない。

 だが、魔道具化した魔石は起動すればハイとしか答えない。


 なんか恐ろしい事が起こりそうだが、やってみる。

 おお、分身が一つ外にある感覚だ。

 分身が感じるのはたった一つの感覚だ。

 魔力の感覚だけだ。

 魔石には目もなければ耳もない。

 あるのは魔力だけだ。

 でも魔力があれば魔道具は起動できる。


「ミニア、ライトの魔道具をさっき作った魔道具にくっつけてくれ」

「了解ー」


 分身にライト魔道具をミニアがつける。

 灯る灯り。

 成功だ。

 これでタイムラグなしでゴーレムが動くぞ。

 目はどうするかな。

 ティが頭の部分に入れば問題ないか。


 つぎなる改造は大きい合成魔石を作って、それを魔道具化させる。

 呪文の入り口のところで分岐させれば、一つの魔石で何百という動作が可能になるだろう。


 簡単にイメージを書くと。


void main(int argc,char *argv[])

{

 switch(atoi(argv[1])){

  case 1:

   歩きの動作

  break;

  case 2:

   ターンの動作

  break;

   ︙


 というような感じだ。

 細かい指の制御とかは難しいな。

 この辺りは今後の課題だ。


 それとミニアに持たせた魔道具を分身が操作出来る。

 カメラ役はティにやってもらわないといけないけどな。


「ゴーレム設計の企画を伝言魔法で送るから、職人にまた依頼してくれよ」

「いっしょにお出かけできたら良いね」

「今のゴーレムでも一緒に歩けるだろう」

「それだけじゃなくて、喋ったりご飯を食べたりしたいな」

「そんな事が出来るようになったら良いな」


 食い物が食えて返答できる使い魔を増やそうかなと一瞬考えた。

 でもそれは使い魔がやっているんであって俺じゃない。

 分身ならまだしもそれは少し違うなと思いなおした。


 俺がミニアと一緒に行動できる。

 そんな夢のような話が現実になればいいけど。


 まずは出来る事からだ。

 合成魔石を使った多機能魔道具。

 ミニアに持たせるとして問題は大きさだな。


 良い事を考えた。

 魔力や筋肉の圧縮ができるなら、魔石の圧縮も可能だろう。

 爆発したりしないだろうな。

 やってみるか。


char magic_stone[100]; /*魔石100立方センチ*/

void main(void)

{

 MAGIC *mp; /*魔法定義*/

 for(i=0;i<10;i++){

  for(j=1;j<10;j++){

   magic_stone[i]=magic_stone[i]+magic_stone[i+j*10]; /*魔石を圧縮*/

   magic_stone[i+j*10]=0;

  }

 }

 mp=magic_make(magic_stone,sizeof(magic_stone)/10,IMAGEBALL); /*魔石を魔法登録*/

 magic_trans(mp); /*現象に変換*/

}


 これで魔石が十分の一の大きさになるはずだ。

 重さが十倍になるなんて落ちはないよな。


「ミニア、手に魔石を乗せてくれ」

「はいよ」


 魔石に魔法を掛けるとみるみる縮んでいく。


「ミニア、手に持って、重さが前と違うのか調べてくれ」

「うん、小さくなった分軽くなったよ」


 どうやら魔法の要素だけが縮んだようだ。

 なくなった体積はどこに行くのだろう。

 そういえば消した魔法もどこかに行かないと説明がつかない。

 でも、魔法だからな。

 作るのも消すのも自由自在って事だろう。


 ミニアに持たせる多機能魔道具はこれで作れる事になった。

 Sランク魔石もFランク並みに小さくできる。

 作るとして機能面で魔道具は分けるべきだよな。

 攻撃と防御と魔力アップと生活の四種類で良いか。

 機能は少しずつ増やしていこう。

 こういうのはバージョンアップしていくのがお約束だ。

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