準備完了
「おいおい……。サイ達、本当に自分達だけで出たぞ。大丈夫なのか?」
ヴェルリ砦の城壁の上でジェラードは、単騎で出撃したドランノーガを見て呟き、それを聞いたブリジッタが口を開く。
「ドランノーガ様は遠距離からの砲撃で多数の敵を一斉に殲滅するのを得意としていますから大丈夫だと思うのですけど……」
「でも……あの数を単騎で倒せるの?」
ブリジッタの言葉に疑問をぶつけるマリーの視線の先には、新たに現れた芋虫のモンスターの群れの姿があり、芋虫のモンスターの数は最初に現れた群れを合わせて百を越えていた。
「むぅ……。サイよ、もし勝てなかったらピオン達、巨乳ホムンクルス四人だけでも逃がすのだぞ」
「ああ、あの巨乳が失われるのは世界の損失だからな」
『『………』』
芋虫のモンスターの群れを見て、サイではなくピオン達の心配をするビークボッドとジェラード……ではなく巨乳好きな馬鹿二号と三号。その酷すぎる発言にマリーが冷めた目となり、近くにいたヴェルリ砦の兵士達が「コイツら大丈夫か?」と言いたげな視線を向けていることにビークボッドとジェラードは気づいていなかった。
そしてヴェルリ砦でそんな会話がされている時、ドランノーガに乗っているサイ達も行動を起こそうとしていた。
「何だか懐かしいな。初めてドランノーガに乗った時の事を思い出すな」
「はい♪ 私とマスター、そしてドランノーガの共同作業のことですよね♪」
ドランノーガの操縦室でサイが前方からこちらへ向かってくる芋虫のモンスターの群れを見ながら言うと、隣の操縦席に座っているピオンが楽しそうに答える。
サイとピオンは初めてドランノーガに搭乗して操作訓練をしている時に、モンスターの大群がアックア公国の街を襲おうとしている発見して、そのモンスターの大群をドランノーガで一掃した事がある。それが切っ掛けでサイ達はアックア公国とも関係を持つことになり、ピオンがドランノーガ単騎で出撃すると言い出したのも、その時の経験があったからだ。
そして更に言えば今のドランノーガにはピオンの他に、サイのサポートをしてくれる三人のホムンクルスも搭乗している。操縦室の壁に三つの小画面が現れ、その中にいるヴィヴィアン、ヒルデ、ローゼがサイに話しかけてくる。
『マスター殿。対象モンスターの計測、完了しました。対象モンスター、ドランノーガの火力で充分焼却可能です』
『愛しのマスター。対象モンスター百二十五匹、行動パターンの解析とロック完了しました。これで一匹たりとも逃がしはしません』
『マスター様。対象モンスターの焼却に必要なエネルギー計算完了しました。これで対象モンスターの群れを焼却しつつ、後方の砦に被害を出すことはありません』
「ありがとう三人とも。ピオン、『カロル・マーグヌム・コルヌ』発射準備」
「ふふっ……。了解です♪」
ヴィヴィアン、ヒルデ、ローゼの報告を聞き、サイがドランノーガの主砲の発射準備をピオンに命じると、命令をされた赤紫色の髪をしたホムンクルスの女性は獰猛な笑みを浮かべるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます