6ー14







 フード男達の話を聞いた俺は隠れるのを止め、走る速度を上げ、職員室の前にいたフード男の三人の一人の懐に入り、拳を握りしめ、顎に目掛けて打ち上げた。




「よっ、部外者さん達」


「なっ!おま……ガッハッ!?」


「懐がガラ空きだと、殴りやすいね」


「こ、このガキィ……潰すッ!」


「……」

(潰れるのはアンタの顎と……鼻だよっと)




 相手は顎を殴られて、後ろへよろめいたが、すぐに立て直し、怒りながら真っ直ぐに突進してきた。


 真っ直ぐに突進してくると分かったので、顎をアッパーした右手を再び握り拳にして、突進してくる男の顔面に向かって問答無用で殴りつけた。

 



「ガァ……ハァ…」


「かぁ〜痛ってぇな。鼻だけじゃなく、歯にも当たったじゃねぇか」




 殴り飛ばした相手は、意識が飛んだのか打ち所が悪かったのか分からないが、うつ伏せに倒れ、ピクリとも動かなくなった。


 そんな男を見ながら殴った右手の痛みを和らげる為に、ヒラヒラとさせながら、意識があるかどうかを確認した。




「あちゃー、意識飛んでるな。やり過ぎちゃったけど……あ、"狐"の方はっと、アハハッ、相変わらずに圧勝か」




 俺がぶん殴った男の他の二人は、俺が走った後にピッタリと着いてきた"狐"が持っていたボールペンを巧みに使い、無力化に成功していた。


 "狐"の足元には、図体が人一倍デカいフード男の一人が悶えており、もう一人は壁に持たれて気絶していた。




「会長、走るなら走ると言ってください。間に合わなかったら、危ない目に遭っていましたよ?」


「アハハ……そりゃーすまないね」

(本当にボールペンで倒すって……何処ぞの映画やねん)


「さて、殺しては無いですが………コイツらは一体、どうして職員室前にいたんでしょうか」




 確かに、今起きてる火災もコイツら起こしたのかも確証は得られないが、多分コイツらが起こしただろう。

 


 しかし、何故だ?何故、コイツらの口から結衣の名前が出てきた……しかも、誘拐。あークソッ!コイツらの目的が分からん。どうして、結衣を誘拐するんだよ!

 


 今の得れている情報だけでは、確証に至る事も出来ないので、早速コイツらから情報を得ようと思ったが、俺が殴った相手は、吹っ飛んで壁にぶつかり、伸びていた。

 



「おい、ソイツらは意識あるのか?」


「はい、一応、ボールペンを足に刺しているコイツは意識がありますね」


「分かった。少しだけ、




 "狐"が無力化した二人の一人は、頭の打ち所が悪かったのか壁に持たれながら気絶しており、もう一人が右足にボールペンを刺され、苦痛の声を上げながら、右足を両手で抑えていた。


 俺が倒した相手も『結衣の誘拐』と聞いたせいで、顎をぶん殴るに手加減なく殴り、鼻を潰したので、愛でたくスリープ中だった。



 なので、悶えている一人をサックっと尋もーーゴホンッ、お話をして、目的と情報を得ようと、右足を抑えている男の目線に合わせるように中腰になり、話し合いを始めた。




「さてと……お話出来るかな?素直に持ってる情報をさっさと話してくれたら嬉しいなぁ〜なんちゃって」


「お前なんかに話す事なんてねぇ……!?ぐぁあ、痛てぇ!!」


「……会長に素直に話すか、このままペンを足に埋め込められるか、どっちが良い?」


「……」

(も、問答無用だな……)




 "狐"は、男の右足に刺さっているボールペンの上に自分の足を乗せ、ジワジワと押し続け、男の顔は悲痛を通り越して、可哀想になってきた。


 このままだと、苦痛を超えて失神しそうな勢いだったので、"狐"に向けてボールペンを押し込めるのを手で制止し、再び話し合いを続けた。




「えっと、これで分かったと思うが……お前が逆らえば逆らう程、お前の右足に刺さっているボールペンは抜けないぐらいに刺さる事になるぞ?」


「やめてくれ!マジで痛てぇんだ!」


「痛いんだろ?なら、さっさとお前さんが持ってる情報を言えば良いんだよ……。どうせ下っ端の位で、ろくな情報は持っていないと思うが……この際、なんでも良い。ここの校舎にいる仲間、そして、何をしようとしているのか……何故、結衣を誘拐するのか……話せ」


「わ、分かった……。全て、話す……」





 そして、苦し紛れになりながらも、フード男は持っている情報を全て俺達に話した。


 どうやって、校舎に侵入したのか、何処に先生達をやったのか、仲間が何人いるかなどを吐いた。




「なるほど……。なら何故、白崎という生徒をターゲットとして、誘拐しようとした?」


「そ、それは分からねぇ……」


「……」


「グァッ!?ほ、本当だよ!!本当に知らねぇんだ!」


「……本当みたいだな。その、グリグリを止めてやれ」


「ハイ」




 ここの校舎に侵入した敵さんの数は分かった。けど、本当に下っ端らしく、結衣を誘拐するだけしか知らないようだ。


 この男が知っている情報はここまでだなと思い、中腰から立ち上がると、フード男はまだ、興味深い情報を吐いた。




「そ、そう言えば……校舎に侵入する前に、リーダーが、誰か知らねぇが、電話を受けてた」


「ほぅ、そのリーダーさんはなんて言ってたんだ?」


「『任務の変更』……『ターゲットの誘拐』、それに『あの方』と言ってた」


「"あの方"……ねぇ」

(そのリーダーの上に命じる"あの方"がいるのか、しかし、『任務の変更』で、『ターゲットの誘拐』か……)




 今回の騒動は、リーダーという奴が企てたと思ったが、その上がいるとは……。しかしも"あの方"という名称。格上に対して言う言葉だが……それなりの忠誠心があっての発言だろう。


 しかしまぁ……コイツらはそいつの使い捨ての駒として扱われていたんだろうな。あの方と言っても、忠誠心のカケラも感じないしな。



 もう持っている情報は無いと判断した俺は、目線を"狐"に向け、気づいた"狐"はフード男の首に手刀を食らわせてやり、意識を狩った。




「さて……今回の騒動は、テロとかギャングとかの部類では無さそうだな」


「はい。この男が言っていた"あの方"も気になります……。会長、この後はどうするのですか?」


「結衣が誘拐されると聞いて、この目で見るまでは安心できないが、例え、誘拐されてもコイツらが単独で逃げたりはしないだろう」


「それは……どう言う事ですか?」


「さっきも言った通り、コイツらはただの下っ端だ。ある程度の情報も教えられてない駒だ。そんな駒は自分勝手でどうするか決めはしない。自分を指揮をする"リーダー"とやらに指示を貰うはずだ」


「では、そのリーダーを探せば良いのですね」


「あぁ、そのリーダーさんは……この職員室の奥の部屋にある理事長室に、他の先生といるらしいから、な!」




 鍵で閉められた職員室の扉を蹴飛ばし、中に入るとフード男達が複数人いた。

 



「"狐"」


「はい」


「半分はくれてやる。もう半分は……俺が貰うからな?」


「会長、この世の中には『早い者勝ち』と言う言葉があると思いますが?」


「フッ、分かったよ。早い者勝ちだな。じゃあ……てめぇら!さっさとかかってこいよ!全員、ぶっ飛ばしてやるよ!!!」





 俺と"狐"は職員室にいたフード男達を二人で相手をした。俺は拳で、"狐"は、職員室にある先生方の私物を使い、職員室はあっという間に、数分間の戦場になった。



 そして、俺は少しばかり満身創痍になりながらも結衣が誘拐されるのでは無いかと言う不安心と先程までの戦闘の疲れで苛立ち、思いっきり理事長室の扉を蹴飛ばした。









「なぁ、お前ら………結衣は、どこにいるか知らねぇか?」









ーーー

誤字、脱字などが有ればコメントしてください。



作者☆


これから更新していきます。



国家試験の結果は………まだ、分からず……恐ろしやぁ_:(´ཀ`」 ∠):



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