4ー3






『やっほ〜!達也〜!』


「……あぁ?竹本かぁ?」


『なんでそんな怖い風に言うの?』


「今すぐ、時間を確認してみろ。馬鹿野郎」



 今の時刻は、夜中の3時。一般的な学生は寝ている時刻な筈なのに電話を掛けてきたのだ。



『ま、時間は兎も角。結衣ちゃんも夏祭りに来るんでしょ?』


「あぁ、結衣がそう言っていたが……あ」


『ん?結衣?もしかして……!』


「あー、言い間違いただけだ。深い意味は無いぞ?」


『怪しいなぁ〜。私の結衣ちゃんは渡さないぞ!』



 夜中にも関わらずハイテンションな声で俺の耳を痛めつけてきた。俺は仕事の疲れで眠たいんですー。


 帰りに結衣と別れた後、海堂が迎えに来て、そのまま本社へ移動したのだ。仕事が終わったのは夜中の1時、その2時間後に電話が来たのだ。頼んで無いが。



「それで、さっさと本件を言わんかい」


『アイアイサー!裕次郎君から聞いたんだけど、達也君も来るんでしょ?』


「あぁ、そうだが」


『ふむふむ、達也君は本当に来るんだね?』


「俺は行かない方が良いのか?」


『いやいやいや!逆に来いよって感じだよ〜』



 何だよ、逆に来いよって何よ。けど、まぁ行って良いなら行きますけど……。


 なんだか、変な感じで話が終わったけど、その後、何度も俺が来る事を確認して来た竹本に対して少しイライラしたので電話を切ってやった。



「じゃ俺は寝るからな」


『あいよー!ゆっくり寝てーー』




 ブチッ!




「おめぇのせいでこっちは起こされたんだよ……」



 そのまま倒れるように寝ると同時にスマホをポイッと枕元に捨てて深い眠りについた。










「やべぇ〜……寝過ぎたぁ〜」



 

 寝癖でボサボサになっている頭を片手で直しながら食事処へ向かうと朝飯が置かれていた。


 叔母さんは町内会かおばさんの集まりがあるとか無いとかで家には居なく、家政婦の人は、この時間帯は買い物へと行ったのだ。



(まだ味噌汁は暖かそうだし……秋刀魚か、美味しそうだな)



 座布団に座り、テーブルに置かれていた朝食を食べ始めた。


 しかし、今の時間は10時を回っており、朝食を昼食と一緒にするかと考え、一人静かに食べていた。


 食べ始めてから数分後、食べ終わった食器を台所へと持って行き、洗った。それが終わると何もする事が無くなった。



「本当ならこの時間帯は学校だよな……」



 学生にとって学業が無い休みの日は、嬉しいのだが、用事が無い時は本当に暇なのだ。


 個人的には、暇を感じる時は無駄な時間だなぁ〜と思っているのが日課になっている。それでも、人は休みたいから休日が心の底から欲しいと思う。




「夏休みが始まった時は宿題宿題って言ってたのに、終わった後は本当に暇になるな」



 夏休みでもバイトをしている者や実家に帰っている者もいるし、キャンプやプールに行く者もいるだろう。


 しかし、俺は重度のインドア派なので夏休みの半分は家にいる。かと言っても寝ているだけだけどな。



 こんな広い家の中で一人、俺はなにしようかと考えているとピーンポーンとインターホンが鳴る音がした。



「来客かな?」



 家の前で車の音がしたし、宅配の人か来客の人かは分からないが、玄関に行きドアを開けると、そこには……



「元気だったか、達也君?」



 夏満喫してます感が出ている姿をしている香坂 雫がそこに立っていた。




 バタン……ガチャ。




「さてと、昼寝でもしますかなぁ…」


「ちょ、達也!何故いきなり閉めるんだ!」



 閉めたドアからドンドン!音が聞こえ、香坂が叩いているんだなと思った。



「知らない人が来たらまず警察に電話する前に組の者に電話しろって叔母さんが」


「達也は私の事を知っているだろ!?」


「いや、俺、ちょっとあんたみたいな変態は知らないけどなぁ〜?」


「頼むから開けてくれ、外は暑くて仕方が無いんだ!」


「嫌だね。なんでそんな事を俺がしないといけないのさ」



 香坂が家の中に入ってくるのを断固拒否した。まさか、夏休みに来るとは思ってもみなかったし、あの電話でも衝撃的だったのに自宅でもあんな事を言われたら俺はもう立ち直れないわ。


 あの電話とは、高尾家にいた時に掛かってきた電話の事だ。



「もし、ドアを開けてくれなかったら近所の人に言い回るぞ」


「……何をだ?」


「『達也君は、昔、私を襲ったんです!』って」


「はぁ……分かった、分かったよ。ほら、入りな」


「よし!」



 そんな冤罪を言われたらおばさん様ネットワークで町中に知らされるし、スーパーや映画に行きにくくなるから、妥協して開ける事にした。


 学校で香坂に会うだけでも疲れるのに休みの日に出会うとか……考えるだけで疲れる。



「それで、なんの用事だ?」


「まぁまぁ、そう急かすな。お茶でも入れて話そう」


「ここは俺の家なんだけど!」



 お約束の件をしたところで、香坂は靴を脱ぎ、部屋へと向かって行った。


 うちの家は和風で広いのだが、香坂は迷わず、応接間まで歩いて行った。何故、香坂が知っているかと言うと、俺がまだ香坂の事を雫姉と言っていた頃は良く、うちに来て遊んだからである。


 お約束の件て話していた通り、お茶を持ってきて香坂に差し出してやった。



「うむ、やっぱりお茶は美味いな」


「それは良い事で、用件を言ってくれねぇか?」


「そう急がすな。急がす男はモテないぞ?」


「モテなくて結構。30を過ぎたら独身貴族になる予定ですから」



 そう言って自分で用意したお茶を飲み干した。俺だってモテたいとは思ってはいましたけど、諦めもつくもんなんです。はい。虚しい。



「ふふふ、安心したまえ」


「何がだよ」


「独身貴族になる前に私がお前を夫として嫁がせるから大丈夫だ」


「そんなキリッ!と言われても困るわ……」



 真面目な顔して俺を嫁がせるとが言うなよ。堂々として言えるのはお前だけだと思うわ。



「それで、用件なんだが」


「やっとか……」


「あはは、すまないな。許してくれ」


「分かったから早く、用件を言え」



 本当に申し訳そうに言ってきたので、なんだがこっちが悪いように思えてきたのでさっさと用件の話に振った。


 その時、香坂は真面目な表情をした。それを見た俺はまた面倒事だなと思いながら話を聞く事にした。



「君がまた女の所に行った事だ」


「ちょ、ちょっと待て!俺がいつ、女の所に行ったんだよ!」


「高尾家の所だ!」


「そこに行ったのは仕事だ!女の為じゃない!てか、なんで知ってんだよ!」


「私がお前に電話をした時、何故か電波が悪かった。それに疑問を持った私は交信場に依頼して調べていたら!」


「高尾家に居たと?さっきも言ってた通り、俺は仕事で行ってたんだ。女に会いに行った訳じゃ無い」



 一周回って呆れて疲れてきた。まぁ、確かに千夜って言う女には会ってきましたけど!知らんだろ!え?知ってるの?



「千夜って言う女に会っただろ!証拠はあるんだ!」


「あったところでお前には関係ないだろ!」


「ある!」


「どこにあるんだよ……」


「お前は私の男だ!誰にも渡す気も無いし、貸す気は無い!」



 いきなり、熱弁しながら言ってきたのは悪いけど、すげぇ〜メンヘラだな。渡す気は無いって、俺はおめぇの男じゃねーし、貸す気は無いのが当たり前だよ。


 こんな暑い中、目の前で熱弁でもされたらもっと暑くなるわ。気持ち的に。



「てか、どうやって調べたんだよ」


「君の情報は逐一、私の耳へと入ってくるように探偵や部下に頼んで、くふふふふふふ」


「香坂……」


「なんだい、愛しの達也」


「次は法廷で会おう」



 まさか目の前でストーカー発言されたら俺はもう!許容範囲はとっくに超えている!よって!俺はお前訴えてやるぅぅぅううう!!


 俺と香坂による口論は数時間と続き、俺にとっては時間の潰しになったが、これからの事で少しお話しする事になり、夜まで続いた。





ーーー

誤字、脱字などが有ればコメントしてください。




【海男】執筆中……。(元から、香坂キャラは変態にするつもりだったけど、ここまで……)


【香坂】別に良いだろ?好きなんだから


【達也】こっちの身にもなれよ……。


【香坂】こんな美女に好かれて嬉しいだろ?


【達也】美女なのは認める!しかし!そんな変態性は認めん!


【海男】執筆中……。(すまん、そう言う設定なんだよ)


【香坂】美女に好かれて喜ばない男は居ない。よって、達也は私に好かれて嬉しい筈だ


【達也】確かに容姿は美しい部類だろうが、ストーカーは論外だ!


【香坂】ストーカーも愛の行動だと言う事だ。諦めたまえ


【達也】法廷で勝負だ!


【香坂】ふふふ、喜んでお相手しよう!勿論、私が勝つがな。


【海男】執筆中……。(好きにしな)




 作者の暇つぶし小話にお付き合いありがとうございます。

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