3ー11






 今日は、高尾家の跡取りを決める日だ。それは今の俺にとっては面倒で投げ捨ててやりたい内容でもあった。出来たらね。


 跡取りの話を決める内容は簡単だ。高尾家の実の子、高尾 剛か、養子の高尾 千夜のどちらかが当主になる。


 その事を、朝飯を食いながら考えていた。俺の近くには海堂がおり、瀧ノ衆もいた。



「それで、会長はどちらに付く気ですか?」


「……高尾 千夜に付く気だ」


「それはどうしてですか?」


「ん?何か不満でもあるのか?」


「いいえ、自分達は会長の決めた事に従います。しかし、会長の考えている事が知りたくて聞きました」


「そうだな……」



 一瞬だけ箸を止めたが、俺が今考えている事を海堂達に言えば良いと思い、ご飯を食べて始めた。



「俺は親父が残した会社と組を最優先に考えている。それに対して高尾家は会社としても組としても影響力が見過ごせない程ある」


「確かに……」


「暴力事件を起こした実の息子、高尾 剛が当主になると、絶対に仕返しをしてくる筈だ」



 まぁ、そのあいつの事をお子ちゃまとか言ったり煽ったりしていたから仕返しされるのは全部俺のせいなんだけどなー。


 会長や組を最優先に考えている俺にとっては馬鹿な事をしたなーって思いつつ、お味噌汁を啜った。



「それだと、高尾家の娘、高尾 千夜が良いだろ?高尾家の家政婦や使用人達の評判も良いし、みんな千夜様に付く!とか息巻いて者もいたし」



 この情報は、あの〜フリーマン君に教えて貰ったけど、千夜本人も言っていたし、信用は出来る。だけど、本当にあいつはかわいそうだな。俺はどうにか出来ないし、しょうとも思わないから頑張れよ!



「なるほど……しかし、自分達が高尾 千夜様側に付いたとしても……」


「『黒龍組と同じ勢力を持つ東海組、鬼頭組はどうなるか』とでも言いたいのか?」


「はい」



 海堂が心配するのも仕方ない。俺だって心配だもん。三大組と言っても良いほどの二大の組があっち側に付いちまったら俺はどうしようも出来ない。


 その時は、千夜には悪いが跡取りの件からは外させて貰う。そして高尾 剛が当主の座に座ったら……【暗ノ道】の者達を使うしかない。



「心配すんなって、俺はガキだけど引かないといけない時の線引きぐらいは出来るよ」


「勿論、会長の事は信用しています。会長が思うように行動して下さい。我々は会長の邪魔をする者達を排除するのが役目ですから」


「あぁ、なるべく穏やかに済まされるように努力をするよ」




 真剣な目で見てくる海堂と瀧ノ衆に対して苦笑を零した。


 アスタロトグループ社諜報部【日ノ河】、【暗ノ道】の俺に対する尊敬度?が高くなってる気がするんだけど、気のせい?お前らからもそう感じるんだけど。



「あ、それとこっちからは何もするなよ?後々面倒だから」


「それはどうしてですか?」


「殴り合いでもしてみろ?他の組達も参戦してくるから、絶対に」


「会長を護る為でもですか?」


「うーん、多少の怪我は良いが、流石に命に関わる事なら守ってくれ」


「分かりました。その時は相手が二度と殴らないようにします」




 ニヤリと笑う海堂に対して俺はどうこう言う気は無かった。どうせ、言っても実際になったらやるんでしょうから。言っても無駄ってやつはこの事だよ。


 海堂や瀧ノ衆に対して言いたい事は無くなり、今食っている朝ご飯も食べ終わったので先日、葬式が行われた場所へと向かう為に、正装に着替えた。


 白のカッターシャツを着て、その上に黒のジャケットそして黒のネクタイを締めた。


 


「かと言って、相手側から仕掛けてきた場合はとことんやり合え。手加減なんてしなくて良い。喋れなくなるまでぶちのめせ」


「「「「はいっ!」」」」


「ま、その辺の匙加減はお前らの自己判断に任せるわ」


「「「「はいっ!」」」」




 用意された自室の襖を開け、葬式に使われていた部屋へと向かって行った。



(なるべく、穏やかに済むことを切に願いますっと)






ーーー





 スーっと襖を開けて中に入ると、そこには誰もおらず、座布団が人数分並べられていた。


 個人的には前に座るのは嫌で、後ろでコソコソと座るのが好きな俺は前に座るのでは無く、後ろの座布団に座る事にした。



(これから、敵になるかもしれない組達が来るんだ……警戒して対応しましょうかね)



 天井か、何処かは分からないが護衛を命じた【狐】もいる。安心すべき……なのだが、危機に瀕している状況で絶対的な安心は無い。


 ようは自分の身は自分で守らないといけない。咄嗟の行動に移れるのは自分自身しかいないのだから。



「海堂……もし、東海組、鬼頭組を含めて乱闘になれば勝てるか?」


「断言は出来ませんが……道連れには出来ると思います」



 海堂を含め瀧ノ衆の目は至って真面目で真剣な目だった。


 それを見た俺は怯えている自分に情けないと思い、呆れていると俺の頭の上に何かが置いてきた。



「ん?……なんで紙が上から?」



 俺の頭に落ちてきた物は折りたためられていた紙だった。いざ、開いて見ると短く書かれていた。



『我、会長、守る』



 天井から落ちてきたという事は、【狐】が書いてきたんだろうと思い、小さく笑った。



(はは、こんな事で慌ててたらあの世に行った親父に殴られそうだな……)



 心の中で、覚悟を決めた俺はその紙をポケットに入れた。





 時間が経つ度に、他の組の者達が続々と集まってきた。最後には、東海組の組長が来て全員揃った。



「葬式の時もそうだが、こうも集まるとなんかの圧を感じるな」



 厳ついおっさん達が前列でおり、その後ろには鬼頭組の怖ーいお姉さん達。結果全員怖い、うん。


 この部屋にいる者達の観察をしていく度に段々とこの場から居なくなりたいと思う気持ちが強くなってきた。



「はぁ〜、よく眠れなかったなぁ〜」


「俺はお前が気楽そうで羨ましいよ」


「そうっすか?普通すっけどねぇ」



 今日もフリーマン君はフリーでマイペースだった。この静かな空間で大きなあくびを出来るんだから、凄い度胸を持っている事は分かった。けど、実力は分からんが。


 葬式に出ていた組の者達は全員揃っているが、高尾家の二人はいない事に気づくと一人の老人が入ってきた。



「皆様、この度は高尾 勝様の葬式に出ていただきありがとうございます。自分は高尾 勝様の専属使用人の佐藤と申します」



 前列の前で正座し、深く頭を下げた人は高尾 勝を長年付き添ってきた執事的な人らしい。



「高尾 剛様、高尾 千夜様はこの後、すぐに来ますのでもう少しだけお待ち下さい」



 佐藤さんがそう言うなら待つ事、15分。始めに紅とピンクを象徴としたら着物を着ている千夜が入ってきた。今日は軽く化粧もしているのかより一層に綺麗に見えた。




「千夜様〜って本当に綺麗だなぁ〜。目の保養にもなるなぁ〜」



 隣には、目を光らせて下心満載の灰島。



 千夜の後には珍しく軽装では無い、黒を象徴している男着物を着ている剛がいた。




「ケッ、目の保養にもならねぇ男は帰れ」




 隣には、目を鋭く細め、悪態をつく灰島。



 そしてそれを面白く見ている俺。



 そんな事をしている内に千夜と剛は前列の前に立ち、俺達と相対する様に座った。


 千夜はいつも通り、目を閉じて姿勢良くしており、流石のこの空気に圧倒されているのか横暴な剛は大人しくしていた。



「高尾家の当主であった高尾 勝様は心臓発作の為、この高尾家の次期当主をお決めになる前に亡くなってしまいました」



 淡々と佐藤さんは後ろにいる俺達まで聞こえるように語りかけた。



「遺書は書かれておりませんが、勝様は以前からこうおっしゃっていました」



 皆、佐藤さんの次の言葉が気になった。



 佐藤さんは高尾 勝が現役だった頃からの使用人、ただの使用人では無く、何かしらの信用は得ていたのかは言わずとも分かっていた。

 

 その人なら次期当主は誰にするかは聞いていたのでは?と言う考えが浮かび上がってきた。



「今から私が言う言葉は、千夜様や剛様を贔屓するような事は一切言わないとここで断言致します」



 千夜はそれを言われてもただ真顔で目を閉じているだけだった。剛に関しては焦っているのか落ち着きがなかった。



「『高尾家は先先代から争っていた。自分が当主の座に付く為に身内を追放したりした事もあったのを聞いた事がある』」



 佐藤さんの第一印象は優しそうだった。しかし、今の佐藤さんの顔は険しく、俺達を鋭く睨むようだった。



「『高尾家の当主になれるのは強者だけだ。争え、己が望む物の為に』……これが先代当主であった勝様のお言葉です」



 その言葉を聞いた俺達はただただ静かになるだけだった。ここにいる皆は高尾 勝に恩義や世話になった者達で殆どだ。



 そんな言葉に、皆は自分なりの考えで受け取った。



 俺も俺でその言葉には考える事があった。確かに俺は親父やお袋が亡くなり、一人になった。そして残ったのは親父が作ったアスタロトグループ社、黒龍組。俺はこの二つを守る為ならどんな事でもしてやると言える。


 この二つだけが、俺に残さられた唯一の形見だからだ。



 しかし、そんな中でも剛だけは笑っていた。



「何が争うだよ。争う前から結果は見えてるっつーの」


「それはどう言った意味でしょうか」


「ハッ、お前は所詮、クソ親父が引き取っただけの養子だろ?そんな奴が当主になれると思ってんのか?」


「実の子とか関係なく、お父様は争えとおっしゃいましたが?それはどう思いで?」


「お前と俺が争う?馬鹿ってんじゃねーよ。お前側に付くのは精々、高尾家の使用人達ぐらいだろ?」



 先頭にいる二人の兄妹喧嘩が始まった。


 

 あんな静かな時はケラケラと笑える剛に対して怒りを超えて呆れてきた。他の者達も呆れていたり、怒りを我慢していた。


 流石に暴れる者は居なかったが、後一線を超えたら拳があいつの顔に飛んでいくのが簡単に想像ついた。



(ここで怒りに任して行動に移しても解決はしない。勝さんが言っていた『争え』は高尾家同士の事だろうし、第三者が関わる事では無い)



 先頭で怒っている兄妹喧嘩に関しては兄側の剛が手を出さない限り、俺は傍観者側で行こうと決めた。


 流石にこんな大勢の前で女に手を出す事はしないのか言葉で千夜を説き伏せようとしていた。



「お前は俺に従っていれば良いんだ。わざわざ当主になろうなんて思わない方が良いんだよ」


「私が貴方に従う?馬鹿って本当に馬鹿な事を言うんですね。直した方が良いですよ?」


「あぁ!喧嘩売ってんのか!」


「売ってますとも!この家から勝手に出て行った者に反抗しても誰も私を責めませんよ!」


「殴られてぇみてぇだな!あのアマが!」


「養子だとか、血が繋がっていないだとか一々うるさいんですよ!血が繋がって無くても高尾家の娘として十年以上、ここで過ごしてきたんです!貴方みたいな横暴な男が当主になる?馬鹿馬鹿しいんですよ!」


「はぁ?!この女勝手に言わせておけば……痛い目にあって貰うぞぉぉぉおお!!!」


「ッ!」


 

 言葉で説き伏せようとした剛は言葉の喧嘩で勝てないと思い、散々言われた時の怒りが拳に乗って千夜に襲い掛かった。






「おめぇ、が痛い目にあえやぁ!!!」







 俺は剛の顎に強烈なアッパーを喰らわしてやった。食らった剛はいきなりの事で対応出来ず、そのまま後ろの襖ごと、隣の部屋へと吹っ飛んで行った。


 アッパーを喰らわしてやった俺は心の中で『やってもうたぁ』と思いつつもそのまま吹っ飛んで行った剛に近づいて行った。



「さっきから聞いてだけどよぉ……一々、うるせぇんだよ。勝さんは争えって言ってだけどよぉ、手を出せとは言ってねぇし、どうかと思うんだけどなぁ?えぇ?」


「お、お前!俺にこんな事をしても良いのか!?」


「あぁ?!ただのニート野郎にアッパー喰らわしても何も失うもんねぇだろうが!」



 よくよく考えてみると剛はバスケット選手になる為に家から出て行った事だし、暴力事件を起こして辞めたんなら、無職のニートやん……と俺は考え着いた。


 それにしても俺は今やっている事にどうしようも無いし、この憤怒の感情様に任せる事に決めた。



「こっちとらぁ、ここまで来るのに歩きで来たのに見せられた物が兄妹喧嘩ぁ?ぶっ飛ばすぞ、てめぇ!」


「なっ……」


「誰かに良いように言われて、当主になろうとでも思ったんだろ?」



 壁にもたれてぶっ倒れている剛の目線に合わせて中腰になると人生で初めてって言っても良いほどの睨みをしていた。



「お前がもし、万が一、当主になったら俺はどんな手を使ってもお前をその座から降りるように仕向けるからな」


「おい!誰かこいつをどうにかしろ!こいつを倒した奴はなんでも叶えてやるぞ!」



 7つも歳が離れているのにアッパーを喰らわして俺に対して他の組の者に助けるように求めたが、後ろにいた他の組達は動かなかった。



 

 その中で二人、立った。




 俺を止めに来るか、殴りに来るか分からなかったが、その二人とは東海組組長、東海 豪一。鬼頭組組長、鬼頭 彩芽が俺の後ろに立った。


 豪一の顔は最初に会った時から変わらず厳つい表情で剛を見下していた。



「お前がやっている事は強者になる為でも弱者がする為でも無い。ただ強者と勘違いしている愚か者がする事だ」



 彩芽は豪一の反対。剛に対して笑っている。しかし、心の中ではこの男に怒りの感情しか湧いていなかった。



「二十歳を超えた男が、十七の女子に手を出すだぁ?あはは!お前さんって本当に救いようがないお子ちゃまだねぇ」



 二人が放った言葉は剛に対して助けるのでは無く、追い詰める言葉であった。俺はてっきり言ってくるのか殴ってくるのかと思っていた。


 助けてくれると思っていた二人に裏切られた剛は放心していた。俺は何言ってもこの状況では聞こえないなと思つつ、中腰から立った。



「俺は高尾家の次期当主になるのは、高尾 千夜に相応しいが……お二人さんはどちらに付くんですかい?」



 皮肉にも後ろにいる二人に聞いてみると豪一は鼻で笑い、彩芽は大笑いをしていた。


 そんなに面白いかね?



「高尾家の当主になるべきは血が繋がった長男だと決めていたが……この有様だとどうやらそれは無理らしいな」


「アタイも強い男だったんなら良かったんだがこんなお子ちゃまが当主になったら師匠が残した家を壊されかねないからねぇ」




 どうやら、東海組の組長さんも鬼頭組の組長さんも決めたようだ。ようやく面倒事から離れる事が出来るな。





「黒龍組組長、黒崎 達也は……」


「東海組組長、東海 豪一は……」


「鬼頭組組長、鬼頭 彩芽は……」





 この場で俺と二人はハッキリと言った。



 三大組の者同士争う事の無く、同じ理由を

持ってこの高尾家の跡取りに終止符を打ったのだ。




「「「高尾家当主になるべき者は高尾 千夜と断言する」」」




 元々、剛側に付いていた組の者達は三大組が千夜側に付くと言った事で、自身の組を最優先にし、誰も剛に付く者はいなかった。



 自分には誰にも付いて来ないと理解した、いや、理解させられた剛は放心状態から怒りの状況に変わった。



「巫山戯るな!俺は高尾家の……次期当主だぞ!俺が!俺がっ!」



 理解しているこそ、現実を否定したくなるのは同じ男として人間としてそこだけは理解してやれる。


 しかし、その後、剛が言った言葉に俺は引っかかった。



「当主にならないと……約束が……裏切り行為に、なる。に、逃げないと……!」


「裏切り行為……?お前のバックにいた奴は一体誰なんだ?教えろ」


「む、無理だ!何処かであいつが見てるんだ!じゃなきゃ……」



 剛は怒りに任して言っていたのでは無く、何かに怯えて焦っているように見えた。体はガクガクと震え、目線の先は止まらず泳ぎ続けていた。



(この怯えようはなんだ?そこまでバックにいる者に対して恐怖心があるのか……)



 流石のこの変わりように二人も異常だと分かりが、後ろの方でいる千夜は驚いていた。


 限界に近づいた剛はその場から勢いよく立ち、中庭へと裸足で出て、その後も正門から逃げようと走って行った。




「海堂!あいつを追え!」




 ここで逃してはバックにいた者が分からない。なんとしても捕まえて吐かせなければならない。



 しかし、それの思いは千夜によって止められた。




「達也様、そこまでで結構です」


「……」


「不満なのは分かります。でも、高尾家の当主は私です。この地に立っている限り私の言う事を聞いて下さいませんか?」



 真っ直ぐに見据えた目で見てくる千夜にたいして、俺は自分の心を落ち着かせた。確かにこの地の新たな主に従うのは定石、『郷に入っては郷に従え』と言う、ことわざもある程だ。



「なら、座ってたら言う事を聞かなくても良いのか?」


「え?あぁ……ふふ、それに関しては何も言いません」


「冗談だよ。冗談。海堂、あのお子ちゃまを追うのを止めろ」


「はいっ」



 海堂と瀧ノ衆に追わすのを辞め、今回の【高尾家の跡取り】は終息がついた。





 


 その後、千夜が当主になる手配を済ませ、千夜は正式に高尾家当主となり、逃亡した剛に関しては高尾家の当主の命により、永久追放を言い渡した。








 その頃、剛は正門から逃げてから、石段を下っていた。


 靴も履いてなく裸足で石が刺さったり、夏の太陽の日差しでで暑く感じるが『逃げる!』と言う思いが大きく、どうでも良かった。



「……ハァハァ……早く、逃げないと……見つかる」



 汗にも構わず、ただただ逃げると言う意思から石段を下っていくとその先に一人の男が立っていた。



「どけぇ!」


「いやいやいや、それは無理な問題ですねぇ」


「良いからどけよぉ!」


「俺は組織の敗北者さんである貴方に用があるんですよ。高尾 剛さん?」


「そ、しき……もしかして、お前は!」


「えぇ、組織の者です。はなっから貴方の事を見てたんですよ」


 

 男はポケットから煙草とライターを取り出し、口に咥えて、火をつけた。


 ファーと吐いた煙草の煙はあっという間に消え、匂いだけが残った。



「あんたは教祖様の御命令に答えれる様な結果は残して無いだろ?」


「うっ……しかし!俺は言われた通りに!」


「でも結果は負け。負けて敗北者なった者は獲る物は何も無いんだよ。バスケット選手だったお前なら分かるだろ?負けた先にあるのは【敗北者】と言うレッテルが貼られる」


「俺はっ!負けてなんかいない!今は引いてやっているだけだ!」


「はぁ〜、負け犬の遠吠えってこう言うのだったんだな」


「うるせぇぇぇぇええ!!!」



 怒りが爆発した剛は男に殴りにかかったが男は煙草を吸いながらも、胸ポケットから黒の物体を取り出し、剛に向けた。


 男が持っている物は誰もが知っている物で剛もそれを見た瞬間、躊躇したが、もう時すでに遅し、体は男の方へと向かっていた。




「敗北者は組織に要らない。正当なる処罰を代理人である俺が汝に下す」




 一瞬の大きな音と共に、木々に止まっていた鳥達はその音に驚き、一斉に飛び、その場から音と共に消え去った。









【高尾家の跡取り・完】




ーーー

誤字、脱字などが有ればコメントしてください。



今回の話は7000文字超えになりました。長文にも関わらず、最後まで見て下さりありがとうございます。



今回の話について意見がある場合は、遠慮ぜず、コメントしてください。



第四章は結衣との日常を記載します

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