40 最強は 他にも居た

「ア・・アリシャッ!!」

叫ぶカムイ。巨人に殴られて、湖へ吹き飛ぶアリシャ。速度が速すぎて確認できない。


(バシャ―ン!!)


「!?」

やっと視界に捉えると。

アリシャは、湖に浮いて目を瞑り、

表情が青くなっている。


「そ・・そんなっ!!」

急ぎ駆け寄るカムイ。しかし、城へと巨人が岩を投げる。

(ドカーン!)

「うわっ!」

と避ける。近寄れない。

 巨人は巨体を物ともせず大きく跳ぶ。

湖の上空へ、狙うはアリシャ。


オオ!!

巨人の全体重を足にかけた、重力も。

もの凄いエネルギーで降って行く。そして、


(ドッパァアン!)

凄まじい波紋が、湖の一面に広がる。

巨人の足は、アリシャの身体の中心へ、命中していた。


「アリシャーッ!!」

カムイは叫ぶ。そんなはずはない、今まで、無敵だった。

負けることなんて、無い。そう信じていた。


――しかし、その願いも空しく、アリシャは湖へと溶けた。


「嘘だ・・」

カムイは茫然自失。

目の前で起こったことを、認めれない。

起こるはずが無い事。アリシャが、負けた。


(そんな・・)

身体が勝手に動く。目の前が湖でも、そんな事、関係ない。

今なら、例え火の海だろうと飛び込める。

夢遊病のように、外へ向かって歩き出す。


フラフラしながら。湖の上に立ち。

歩いてアリシャの所へ向かう。


その時、カムイは転ぶ。


「・・・」

余りのショックで。


(僕としたことが、転ぶなんて)

自嘲的に笑う。自棄ヤケになっていた。

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