29 魔導ビル
相変わらず、辺りは薄暗い。空を見ると、さっきより濃く、黒い雲が空を覆っている。
「助けてー!」「うわああ!!」
相変わらず、城下町のあちこちから、悲鳴が聞こえる。
「・・!」
レベッカは悔しみながら、目的地に着く。
――ここは、まどうビル。
10階建ての巨大なビルが建っている。
国に所属する魔導士が、大勢いる。
階層ごとに属性を分けた、大勢の魔導士。
代々、アバランテ国王に仕えてきた。
しかし、それは過去の話。
―――今まどうビルは、ボロボロに、壊れ、穴が開いて、放置されている。人影もない。
レベッカは、中へと入る。
そこはホール。広い無機質な空間。
あちこちボロボロになって崩れている。
奥へ進む、と、
目の前には(E)の文字。エレベーターのよう。しかし壊れて、完全に止まっている。
レベッカは髪飾りから、石を外して、壁にかざす。
すると、光って(ウィーン)と動き出す。
・・・その時、レベッカは後ろを振り向く。
「??」
何かの気配を感じた。でも辺りを見ても誰も居ない。
(チーン)
やがて、エレベーターの扉が開く。
不思議がりながらも、中へと入るレベッカ。
(8)を押す。上へ動き出すエレベーター。
(チーン)
8階に着くと、扉が開き、
そこは真っ直ぐな、白い廊下。先へ進むと、
「・・・」
複雑そうに、見つめるレベッカ。
(コンコン)とノックする。
しばしの後、ガチャ。と開く。
入室するレベッカ。
そこは広く、大きな窓と絵が飾られた部屋。
「レベッカ、お嬢様」
銀縁メガネで、白いスーツを着た男は、振り向くと、静かに言う。
王立 まどう協会、代表。
「久しぶりね・・ホワイト」
「はい」
2人の間には、謎の距離感があった。
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