15 イージスの壁

 レベッカから、奪った宝石を持って、

ポルゾイと、闇魔導士ケルは

猛吹雪の、ホワイトアイランドに現れる。


「やはり王は俺なんだ!」

ポルゾイはそう言うと、目の前の岩壁に向かい走る。

 

ケルが杖を振ると、岩の雪が避ける。


絶対壁イージス

と言われる、岩壁が出現したのは1年前。


ポルゾイは、レベッカが創った、青い宝石を

絶対壁イージスへと向ける。


「王だ!」

ポルゾイは大声で喜びながら言うと、

窪みに、宝石を嵌め込む。


(カチッ)

と音がし、嵌る宝石。


すると、その宝石の部分から、壁の網目状の傷跡に、

青い光が浮かび上がる。


「やった!!」

喜ぶポルゾイ。


「・・・」

ケルは黙って見ている。やがて、絶対壁イージスを、

青い模様が覆う。まるで、蜘蛛の巣のように見える。


(ピシ・・)

と岩の上にひびが入る。


「やったぞ!!」

もっと喜ぶポルゾイ。そして、


(ピシッ・・!ゴゴゴ!!・・)

と大きく青い割れ目が入っていく。

それと同時に、地面が揺れる。


「!」

大喜びするポルゾイ。

しかし、ポルゾイの頭上には、巨大な岩が、落ちてくる。


「貴様?」

と意味不明な事を言い、慌てて避ける、が。


(ド―――ン!!)

とポルゾイに氷の巨岩が落ちる。


ケルは離れて見ている。


「ぎゃああ!」


そこには、岩に潰されているポルゾイ。


「いてえ!た・・助けろ!!」

とケルに命令する。


「どうしました?」


「バカ!助けろ!!」

ケルはゆっくりと魔法を唱える。


「早くしろバカ野郎!」


やがて岩が消える。どうやら命に別状はないらしい。


「殺すぞケル!」

助けた、ケルに石を投げる。それを交わして、


「ヒヒ。騙されましたな」

と笑う。

 宝石は偽物だった。しかも絶対壁イージスの壁は、

そのままで、何も変わっていない。


「くそ!おいケル!帰るぞ!!」

痛みに叫ぶ、ポルゾイ。


2人は、魔法で城に戻った。

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