12 残酷な国王の一撃

(グサッ!)

と剣が突き刺さる。

 

ポルゾイの剣は、壁へと突き立っている。

シルエットは、レベッカの身体を貫き、剣が貫通している。


レベッカは目を閉じている。

横から見ると、身体を貫通している剣。


「小娘が・・!」

剣はレベッカの脇の下を通して、壁に刺さっていた。

ポルゾイはわざと外した、外さざるを得ない。


「!!」

ポルゾイが髪を掴む。


「・・う?!」

痛みで顔が歪むレベッカ。そして、

(ドン!)と、壁へと叩きつける。


「はぁ はぁ・・」

レベッカは痛みで汗をかき、息荒くなっている。

しかし、相変わらず強い意志で、ポルゾイを睨んでいる。


「バカにしやがって・・!」

と怒鳴る。ポルゾイは内心殺したかったが、

闇魔導士ケルの話では、自分が損をする。


「おい」

とレベッカから手を離して、側近に命じる。

店の中に近衛兵が、何かを持ってくる。


「!?」

レベッカは驚く。


それは、子供達。氷で顔から下を覆われて、意識を失っている。


「!?」

それを見た、レベッカは、ポルゾイに押さえつけられている

手を振りほどいて、痛みを忘れて、思わず、子供達に向かう。


「おっと・・!」

(ドン!)と、ポルゾイは再び、レベッカを壁へと押し付ける。


「そんな!?・・」

その子達を、レベッカは良く知っている。

孤児院で生活している親の無い子供達。


 手作りのアクセサリーやおもちゃを、プレゼントするのが、

レベッカが、お店をやっている一番の理由。生きがい。

それを子供達も、すごく楽しみにしていた。


「やめて!」

レベッカは全力で暴れる。今、子供たちは、氷で身体を縛られている、

一刻を争う危険な状態。


「これもお前のせいだぞ?」

と言い、レベッカを押さえながら、剣を子供へと向けるポルゾイ。


「・・!?」

レベッカは、子供たちへの想いで、涙を流す。


「もう一度聞く、鍵を作るか?」

ポルゾイは、子供達の首に剣先を当てる。


「・・・」

レベッカは子供達をじっと見て、俯き、


「解ったわ・・」

と言った。

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