記号たちは明日へ進む

作者 八番出口

笑えて時にじんわりする、ボツキャラクターたちの『その後』のお話。

  • ★★★ Excellent!!!

〝ボツキャラクター〟と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか?
ストーリーにおいて不要になり、外されてしまった登場人物……というのが、一般的だと思います。

本来であればそういったキャラクターは、パソコンのフォルダ内やノートの中で眠り続けているものですよね。
もしくは、書いた紙を丸めてポイ。創作をしている人にとっては、日常茶飯事です。

その当たり前が、もしも物語になったとしたら?
ボツキャラクターに『その後』があったとしたら?

そんな〝もしも〟を描いたお話が、この『記号たちは明日へ進む』という作品です。

メインの登場人物は、女子高生5人組。

ギャグ作品のボツキャラクター・ツッコミ役の春心とボケ役の朱音。
SF作品のボツキャラクター・しづく。
ミステリー作品のボツキャラクター・メーベル。
ファンタジー作品のボツキャラクター・ルシア。

可愛い女の子がワイワイする日常ものというだけで、一定数の方は満足できるんじゃないでしょうか?
けれどもこの作品にしかない特別な魅力、それが〝スポットが当たる人物によって話自体のジャンルが変化する〟というものです。

第一話から春心と朱音のシュールな笑いに惹き付けられる本作ですが、ギャグ以外のジャンルもしっかりと濃く味わえるようになっていて、ほんわかした日常パートはもちろん、推理・戦闘シーンも迫力があります。
設定頼りではなく、小説作品として文章が練られている所もまた、作者様の技量の高さが窺える部分であり、お勧めできます。

キャラクターたちにも愛着が持てるような作品で、ボツキャラクターだからこその特別な力・ジャンルごとの『設定』を持っています。
笑える日常ものかと思いきや、徐々に明らかにされていく彼女たちの秘密。どこか熱い展開を感じ、手に汗握りました。

メイン以外にも濃い登場人物が多く、彼ら彼女らが生き生きと描かれている部分にも好感が持てます。

本来の役割から放り出された彼女たちの、『その後』の物語。
笑ってほのぼのして、じんわりと心に響くボツキャラクターたちの賑やかな日常を、あなたも覗いてみませんか?

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