第3話 助けてもらったお礼。

 ピンポーン。ガチャ。


「誰だ?」


「ちわーっす! おれくん、よっそらほい!」


 些天意さてんいが元気よく挨拶する。


些天意さてんいか、どうしたんだ?」


「前に、あちしをたっけてくれた、お礼をしん来たんだけど!」


「そうか」


 俺は手を出した。


「なんだい、これ?」


「いや、だから、お礼なんだろ?」


「そうらけど、物はねえっすよ?」


「え? あ! そうか! すまん! ああ! 前は助けてくれて、ありがとうって言いに来ただけか! うわー! なんか俺が、がめついヤツみたいで、めっちゃ恥ずかしい!」


 俺は恥ずかしいのを誤魔化すように笑った。


「いんやぁ~。お礼は、物じゃないってだけで、無いわけじゃないんだよ!」


「どういうことだ?」


 俺の頭に、?マークが浮かぶ。


 些天意さてんいはいたずらっぽく笑う。


「あのね、おれくん! お礼はね!」


「うん」





「あ・た・し!」





「けっこうです」


 バタン。ガチャガチャ。カチャン。


 俺は可及的速かきゅうてきすみやかにドアを閉め、チェーンをかけ、鍵をかけた。


「さ、部屋でくつろご」


 バンバンバンバン!


「おれくん! ひどいってえええええええええええええええええええ!!」


 ドアの向こうから、叫びが聞こえる。


 いや、聞こえない。


「いいもん! じゃあ、魔法で開けるもん!」


「え!?」


「えいやああああああああ!」




 ガチャ。




 ドアが開いた。


「マジで!?」


「やっほ~! おれくん! おっじゃまするね!」


反則はんそくだああああああああああああああああああああ!!!」


 魔法少女些天意さてんいが家に来た。

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