第7話 暴走。

「グアアアアアあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」


「なんだ!?」


 俺はファントムの方を向く。


「そ、そんな・・・」


 ファントムはまるで、別の生き物に変わっていた。




 角が生え。牙が伸び。翼が生え。筋肉が盛り上がり。腕が6本になり。足が8本になり。目が10個になり。大きさが5倍になり。全身から毛が生え。背ビレが生え。長い尻尾が生えていた。


 目には生気は宿っておらず、硫酸のようなよだれれて、地面をジュージュー溶かしている。


 耳をつんざく叫び声は、獣の咆哮なのか。激痛をうったえる叫びなのか。




「クックックッ。アーハッハッハッ!」


 白衣の男ジェネシスはメガネに触れ、狂ったように笑う。


「素晴らしい! なんて素晴らしいんだ!!」


ファントムはどうして、こんな姿になったんだ!?」


「暴走したのさ!」


「ま、まさか!? 暴走だと!!?」


「暴走したチート能力者を見るのは、初めてかい?」


「ああ」


「どうだい? 素晴らしい姿だろ?」


 俺はファントムをまじまじと見た。




 暴走したチート能力者の末路まつろ


 それはウェディングドレスを着たバケモノ。


 神聖しんせいさと禍々まがまがしさ。


 相反あいはんする性質をあわせ持つモンスター。




「グアアアアアあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」


 俺は息を飲んだ。


「こ、これは・・・・・・何なんだ?」


いびつな愛の形! 狂乱きょうらん咆哮ほうこう! 人知じんちを超えた存在! さしずめ、暴走した嫁バーサークファントムといったところかなッ!」


「バ、暴走した嫁バーサークファントム・・・・・・だと」


「これがファントムの本当の姿さ」


「なんだと!?」



「グアアアアアあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」



「さあッ! この僕に、君とファントム披露宴第二ラウンドを見せてくれッ!!! アーハッハッハッ!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る