第23話 贈り物。

 ゲートが出た。


 俺は何も言わず、ゲートに入ろうとする。


「待ちなさいよ!!!」


 リーナが俺の手を掴んで引き留める。


「アレスはどうしたのよ!?」


「俺だ」


「ふざけるなあああああああああああああッ!!!!!」


 リーナは滝のように涙を流しながら、俺を睨んだ。


 俺を掴む手に力がこもる。


「・・・」


「・・・」


 俺はこっそりため息を吐き、顔をそむけた。


「・・・・・・アレスは・・・・・・消えた」


「消えた!?」


「ああ」


「なんでよ!?」


「・・・・・・魔王を・・・・・・倒すためだ」


「そ、そんな・・・」


 リーナは地面に膝をついた。


「もし私が魔王を倒せていたら、アレスは消えなかったの!!?」


「違う」


「私が弱かったからッ!!!」


「そうじゃない!!」


「アレスが消えたのは、私のせいよッ!!!!!」


「リーナのせいじゃない!!!」


 リーナは涙を流し、地面に崩れ落ちた。




「アレスウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!」




 俺は何もしなかった。


 分かっている。


 俺にリーナを慰める資格なんて無い。


 姿はアレスだが。


 俺はアレスじゃない。





 俺は顔をそむけ、ポケットに手を入れた。




 コツン。




 手に何かが当たる感触があった。


「何だ?」


 ポケットから取り出した。


 ラッピングされた箱だ。


 箱に『リーナへ』と書かれた手紙が挟まっている。


「リーナ、これを」


 俺はリーナに箱と手紙を渡した。


「これは?」


「アレスからだ」


「なんですって!?」


 リーナは手紙を開けた。

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