第104話 仲直りの方法
私はあることから、クラーナのことを少し疑ってしまった。
という訳で、今は謝罪中である。
「クラーナ、本当にごめんね」
「アノン、もういいわよ。そんなに気にすることではないわ」
しばらくキスした後、私は再びクラーナに謝っていた。
クラーナを疑うなど、あってはならないことである。そのため、私は申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
ただ、クラーナ的にはもう気にしていないらしい。
クラーナは、本当に優しい。
「それに、私も少し変な表現をしてしまったから、アノンがそんなに罪悪感を覚える必要はないのよ」
「クラーナ……」
「それより、早く夕食を再開しましょう? せっかくの料理が、冷めてしまうわ」
「うん……」
クラーナの言葉で、私は謝罪をやめる。
確かに、このままでは料理がもったいない。
こうして、私達は夕食を再開するのだった。
◇◇◇
夕食の後、私はクラーナとソファの上で向き合っていた。
私の膝に、クラーナが座る形だ。
とりあえず、話し合いをするためである。
「ん……」
「ん……」
ただ、話し合いになどにはならなかった。
なぜなら、クラーナが求めてきたからである。
という訳で、私達はキスをしていた。
クラーナは、私の口の中に舌を入れて、蹂躙してくる。
「んん……」
しかも、クラーナが上であるため、逃れられない。
私は、されるがままになるしかないのだ。
ただ、それは別に嫌ではない。むしろ、好きなくらいだ。
「ぷはっ……」
「はっ……」
そこで、クラーナが離れていく。
流石に、苦しくなってしまったのかもしれない。
「アノン……」
「クラーナ……」
クラーナは、私の体を触り始めた。
これは、もうする気だ。ただ、その前に確認しなければならない。
「クラーナ、その……」
「アノン? 何かしら?」
私が普通の感じで言葉を放ったので、クラーナは少し不機嫌になる。
ただ、これは、仕方ないことだ。このまま、もやもやした気持ちのままで、そういうことをするのは駄目だ。
クラーナには、申し訳ないが、ここは止めさせてもらいたい。
「ちなみに、謝る謝らないの話は、もう過ぎたことよ」
「で、でも……あっ!」
「今は、仲直りの時間でいいじゃない?」
「うっ……」
謝ろうとする私に、クラーナは体を弄ってきた。
どうやら、私にそういう隙を与えないつもりらしい。
「……アノン、本当に気にしないでいいのよ」
「え?」
「いつものアノンに戻ってくれないと、私の方が辛いわ。それを、わかって欲しいの?」
「クラーナ……」
そこで、クラーナがそんなことを呟いてきた。
そして、私は理解する。再び、クラーナを悲しませていたということに。
私は、自分のことばかり、考え過ぎていた。クラーナが、気にしないと言っているのだから、気にする必要はないのだ。
「クラーナ、ごめん……」
「もう、謝罪はいいって言っているでしょう?
「……そうだったね」
私の言葉に、クラーナは笑顔になった。
最初から、これでよかったのだ。
「それじゃあ、続きをしましょうか?」
「あ、でも、クラーナ、ベッドに……」
「たまには、こういうのもいいでしょう?」
「あっ……!」
私の提案を、クラーナは断ってきた。
しかも、体勢を変えて、私をソファに押し倒してくる。
「さあ……」
「もう……」
こうして、私とクラーナの仲直りのようなものが始まるのだった。
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