第98話 撫でる時に気づいたこと
私は、クラーナと一緒に朝食を食べた後、ソファに座っていた。
もちろん、クラーナも一緒だ。
「さて、クラーナ、今日は撫でるよ?」
「ええ、お願いするわ」
とりあえず、クラーナは隣に座ってもらっている。
どの体勢で撫でるのかは、各々決まってくるはずだ。
「まずは、どこから撫でて欲しい?」
「それなら、お腹から……」
「よし……それなら、どうぞ?」
「あ、ええ……」
私の膝に、クラーナが乗ってくる。
クラーナはさらに、自身の服を捲った。
これで、お腹が撫でられる。私は、ゆっくりとそのお腹に触れていく。
その温かさと弾力が、私の手に伝わってくる。
「よし……」
「んん……」
私がお腹を撫で始めると、クラーナは艶やかな声をあげた。
クラーナのお腹はすべすべで、とても撫で心地がいい。
「アノン……頭も」
「あ、うん」
クラーナに甘い顔で懇願されて、私はその頭を撫で始める。
いつも通り、ふわふわで触り心地のいい髪の毛だ。
右手で頭、左手でお腹を撫でるのは、中々楽しい。
しかも、クラーナは、気持ちよさそうにしてくれている。
この表情を見られるのも、撫でていて楽しいことの一つだ。
「よおし……」
「あっ……」
続いて私は、クラーナの耳を攻め始めた。
ここは、クラーナの弱点である。
髪の毛と同じ毛質なので、こちらも触り心地がいい。
「うん?」
「アノン……?」
そこで、私はあることに気づいた。
クラーナの耳についてのことだ。
クラーナの耳は、私達と違って、頭の上の方についている。
しかも、結構大きい。よく聞こえるかどうかはわからないが、その大きさから気になることがある。
「クラーナって、耳掃除とかしているの?」
「え?」
「いや、気になってね。結構大きいし、大変なのかなって……」
なんとなく、気になってしまった。
その耳を掃除するのは、とても大変そうだ。
「ええ、そうね。大変よ」
「やっぱり、そうなんだ……」
「ええ、でも、私なんかはましな方よ。耳が垂れて、塞がれている子は、もっと大変よ」
「へえー、同じ犬の獣人でも、色々あるんだね……」
私の質問に、クラーナがそう答えてくれた。
予想通り、大変らしい。
ただ、耳の種類にとっても違うようだ。
「そういえば、丁度掃除しないと思っていたのよね……」
そこで、クラーナがそんなことを言ってきた。
その言葉に、私は思いつく。
丁度掃除しなければいけないなら、私がしてあげればいいのではないのだろうか。
「クラーナ、私が掃除しようか?」
「え?」
「私も掃除できないかな?」
「それは……ありがたいわね」
私の言葉に、クラーナはゆっくりと頷いた。
こうして、私はクラーナの耳を掃除することになったのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます