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 この街の人々は何処に消えたのか。


 これだけの都市ですら人がいないのに今後の旅に成果はあるのか。

 草原の海原を映していた瞳は、あるべき姿を失った市街地へと落ちていく。

 これは漂流する筏より海底の沈船に閉じ込められている方が自分の現状に近いか。

 あるいは――そう、終わりのない穴に落ちていくような……あな?穴?


「ん?」

 穴を見た気がする。いや、ある。

 街の広場に暗い影を開けている大穴が。


 双眼鏡をリュックから取り出すが、角度が悪く中の様子はわからない。

 だが、人工的に作られたであろう綺麗な円形。中にはアーチ状の支柱があるように見える。人の有無を気にして都市部の探索時では気付かなかった。もしかすると細かな見落としがまだあるかもしれない。


 中にアーチ構造があるなら都市の地下構造にも何かあるはず。

 水道設備や地下墓所カタコンベなら近くに入口もあるだろう。幸いにも寝泊まりする場所には困らない。


 なら、この都市にしばらく滞在して調査をするのも悪くない。

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