第34話
「というわけで、彼が新たな実地訓練の教官として呼び戻した、レイジ・シンジョウだ」
城に着くと、荷物を置く暇すらなく、いきなり黄道宮に連れていかれた。
「「「「・・・・・・・・」」」」
王が礼二について話している間、クラスメイトは不満そうな雰囲気を醸し出していた。
礼二がふと視界の隅に才記を見つけたので、目を合わせると、彼はあからさまにおびえて後ずさりした。
(・・・本格的に嫌われてんなあ、俺)
クラスメイトたちの後ろにはミリナもいる。腕を組んで、額にしわを作っている。
(そんな顔してたらすぐに老けるよ?)
「彼は戦闘能力そのものは君たちに劣るかもしれないが、現時点では彼のほうが圧倒的に強い。そこを肝に銘じたまえ。以上だ」
王が身をひるがえすとともに、礼二もクラスメイトに背を向けた。
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「ここがお部屋になります」
その後、王と軽く話した後、城付きのメイドによって部屋に案内してもらっていた。
(・・・・なんとういうか、部屋が豪華すぎて慣れるまで時間がかかりそうなんだが)
礼二は部屋に入り、カバンを置く。上着を脱いでシャツ一枚になると、椅子に腰かけた。
「・・・なんで、君はここにいるの?」
「私は礼二様付きのメイドです。身の回りのお世話を一任されております」
そういって彼女は、柔らかそうな金髪を揺らしながら、深々とお辞儀をした。体つきもとても魅惑的だ。普通の転移者なら、ほいほい受け入れそうな容姿の彼女だが、礼二には無駄なことであった。
(・・・・・王も俺にハニートラップの類は効かないって、わかってたはずだけど)
「そうか。なら、ミリナと会いたいんだが、どうすればいい?」
「え? あ、はい。ただいま取り次いでまいります」
礼二がすんなり受け入れたことに驚いたのだろうか、彼女は少し慌てながら部屋を出ていった。
「さてと」
礼二は立ち上がり、部屋を調べ始める。照明の裏、ベットの下、机の裏、棚の裏なろなど。何かを隠せるところはごまんとある。
「・・・・やっぱあったよ」
礼二は一応手の装甲を展開して、それをつかんだ。緑色で、親指くらいの大きさの宝石だ。
(・・・なにかはわからないけど、机の裏に宝石で装飾する奴も稀有だろう)
宝石を机の上に置き、再び椅子に腰かける。すると、ドアがノックされた。
「ミリナ様をお連れしました」
「・・入っていただけ」
ドアが開き、おびえた表情のミリナが入ってきた。礼二はそんなミリナを見て、顔をゆがめた。
※次回更新 5月5日 6:00
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