第275話 第五回 アオイクイズ 前編

 「それでは問題ッ!」

 「ちょ、そんな腹話術ならぬ話術みたいなことしたくないですよ!」

 「わ、我儘だなぁ。なんのために鍛えてるの?」

 「少なくとも胸筋と話すためではありません!」


 現在、バイト野郎と巨乳長女は仕事もせずにクイズイベントをおっ始めようとしていた。


 「ちょっと我儘すぎない?! 私はあんな恥ずかしい動画録ったのに!」

 「で、ですけど」


 「胸筋と話すだけなら実害ないじゃん!」

 「さっき自分が『パンツください』と言っていること同じですよ?!」


 「パンツは嫌!」

 「胸筋トークも嫌です!」


 腹筋で型を取ってチョコを作ったり(第三回の罰ゲーム)、ビルパン穿いてダンスする(第四回)ならまだいい。“終わり”があるもん。


 胸筋とトークって......。会話は弾まないだろうし、弾まないと沈黙と見なされて終わりがないし、そもそも何を話せばいいんだよ。


 「わ、私はあんなに恥ずかしい思いしたのにぃ」

 「そもそもあれは合意の上で成り立った罰ゲームなんですからね」

 「内容詐欺だったじゃん」

 「葵さんが疑わなかったのがいけないんです」

 「ぐぬぬぬ! あ、じゃああのときのこと千沙に言うよ?!」


 なんでそこで千沙が出てくるんだよ。


 「ち、千沙に言ってどうするんですか......」

 「す、好きな異性があんな動画録ってたら怒るでしょ」

 「なッ?!」


 なんで葵さんがそのことを知っているんだ?!


 「あいつから直接聞いたんですか?!」

 「いや。あ、姉だからね! 妹たちの恋愛くらい見抜けて当然だよ!」

 「しょ、処女のくせに......」

 「それやめてくれない?! 訴えるよ?!」


 まぁ、葵さんにバレるのも時間の問題だからな。それくらい最近の千沙は積極的に迫ってきているし。本当に困っちゃう。


 一人の男として嬉しい反面、付き合う気すら無いのに過度に接触してくるから理性が限界よ。


 「千沙のことだからあの動画のこと聞いたら和馬君のスマホのデータ全部消しちゃうんだろうなぁ」

 「わ、わかりましたよ。胸筋トークしますから」

 「よろしい」


 くそうくそう。


 千沙なら俺のスマホの全データ消去をやりかねない。なぜかパスワード変えてもすぐにバレるし。


 こうして前置きが長くなったが、バイト野郎と巨乳長女はクイズ勝負を始めることになった。


 「ここに3つの野菜があります」

 「どれもこの畑で採れた野菜ですね」


 葵さんがアオイクイズのために用意した野菜は全部で3つ。どれもカブの形をしている野菜だが、それぞれ大きさと色が違う。


 「そ。全部カブみたいでしょ? 和馬君にはこの3つの中からのを当ててもらいます」

 「“カブの仲間じゃない”? 同じ科ではないって話ですか?」

 「なんというか、今回は単純に“カブはどれか”ってこと」


 ふむ。こうして見ると大きさや色が違くても、結局はカブなんだぞってものがあるんだな。当然だけど逆に言えば、似ているけどカブじゃないものがあるってことだ。今回はそのカブじゃないヤツを当てれば良いのか。


 ちなみに並べられているつのカブのうち、右端の野菜は大きさは一般的なカブと変わらないが、色が真っ赤だ。


 その隣、真ん中の野菜も同じく大きさは変わらないが、色が真っ黄色。


 最後に左端の野菜は色は真っ白と一般的な野菜なのだが、大きさが違う。普通のカブと比べて二周り程大きいのだ。


 「葵さん―――」

 「うおりゃあぁぁあぁああ!!」

 「うおッ?!」


 バイト野郎が葵さんに声をかけたらなんか可愛く叫びだしたぞ。


 そんでもって着ていた上着を瞬時に脱いで自身の頭から覆い被した。そしてその場にしゃがんだ葵さんは一体何がしたいんだろう。


 「あの、何をしているんですか?」

 「私は今から岩になります」

 「は?」

 「岩になります」


 “岩”? 畑の上で?


 俺はそんな彼女を無視して語りだす。


 「葵さん、この中からカブじゃないのを当てれば良いんですよね? それは複数あるんでしょうか―――」

 「い、岩に話しかけても何も答えません」

 「......。」


 なるほど。一見子供じみたその行為はおふざけかと思いきや、葵さんなりの作戦らしい。


 おそらくバイト野郎のいつもの探り行為を阻止するためのものだろう。俺が葵さんの表情や様子で答えに辿り着くのを避けたいんだ。


 それでこのように上着で自分を隠しているのか。


 「せめてこの中からカブの仲間が何個あるのか言ってくれません?」

 「......。」

 「チッ」


 シカトしやがって。


 しょうがない。コレを好機と捉えよう。


 俺はそう思って作業着のベルトに手をかけた。


 『カチャカチャ』

 「......ん?」

 『カチャカチャ、ジィー』

 「んん?!」


 葵さんがもぞもぞし始める。


 「何してるのッ?!」

 「え? ボロンしようかと」


 「なんでッ?!」

 「せっかくの機会ですし」


 「どこがせっかくなの?!」

 「というか、いいんですか? 岩なのに喋ちゃって」


 バイト野郎は上着で身を隠している葵さんが動かないことを良いことに、ち◯ぽを露出したのだ。もちろん彼女の視界にブツは入っていない。


 おそらく俺の行為は狂気の沙汰なんじゃないだろうか。自覚はあるが相手は“岩”だ。岩ならち◯ぽ出しても大丈夫。


 「岩だけど! その前に一人の女子高生です!」

 「意味わかりません。岩なんですからナニがあっても動じないでくださいよ」

 『ブンブン』

 「ブンブンしてるッ! なんかブンブンしてるッ!」


 “なんか”ってなんでしょうね(笑)。


 俺は器用に竿を彼女の前で振り回し、何か目覚めちゃいそうな気がして興奮する気持ちが抑えられない状況だ。


 ブンブンするの楽すぃー。


 「い、いい加減にしないと母さんたちに言いつけるよッ?!」

 「そんな......言いがかりにも程があります。自分が何をしたって言うんですか」


 「さっき自分で『ボロンしようかと』って言ってたじゃん! それに出してるじゃん! 音からして絶対出してるじゃん!」

 「え、何を?」


 「ナニだよッ?!」

 「もっと具体的に言ってほしいものですね」


 きっと葵さんも俺の奇行に気づいているのだろう。でも実際に目で確かめていないのに決めつけるのはどうかと思う。


 いや、彼女の目の前にち◯ぽがあるのは変わりないけどさ。


 あたまに乗せちゃ駄目かな。すっごくシたいんですけど。


 「か、和馬君! これはさすがに笑えないよ?! セクハラ飛び越えているよッ?!」

 「ええーなんのことですかぁー」

 「いい加減に――」

 「逆に葵さんは見なくていいんですか?」

 「っ?!」


 俺は自分でもあり得ないくらい程のとんでもない発言をした。


 「な、何言ってるの?」

 「葵さんは処女だからきっと雇い主おとうさんのしか見たことないのでしょう? 良い機会ですよ?」

 「今日の和馬君、もうほんっと色々とヤバイよ......」


 わかってます。でも葵さんにとってきっと為になりますから。


 まぁ、あわよくばしゃぶってほしいが。


 「それに勃◯は筋肉の塊ですよ」

 「き、筋肉......」


 揺らいでんじゃねーか。


 “筋肉”が付けばなんでもいいのかよ。


 「ええ。筋肉です。ガッチガチのおっきおっきは、葵さんの大好きな筋肉―――」


 と、俺は葵さんを誘導して息子を拝ませようとしていたが、


 「に、兄さん?」

 「「っ?!」」


 後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。


 「「ち、千沙ッ?!」」


 俺は声の主の方に驚いて振り返ってしまった。


 ボロンしたまんまで。


 案の定、そこに居たのは作業着姿でも可愛い妹である。


 「い、一体ナニをしているんですか......」

 「「......。」」


 どうしよう。言い訳が思いつかない......。



――――――――――――――――――



 ども! おてんと です。


 いつも通りグダグダしてたら今回で終わらすことができませんでした。許してください。


 ということで、次回は千沙も交えて第五回 アオイクイズ後編です。


 それでは、ハブ ア ナイス デイ!

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