第44話 未体験でママになる
「え、お兄さんの..........お母さん?」
「はい、そうです」
「和馬も座りなさい。で、どこまでいったの?」
桃花ちゃんの顔はもう真っ青だ。ざまぁ。人んちの前でありもしないこと言うからだよ。罰が当たったな。
「和馬っ! なに笑ってんの! あんたがこの子にシたんでしょうがっ!!」
なお、こちらの母は俺がこの子を無理矢理犯した強姦魔と勘違いしている模様。
見れば桃花ちゃん、真っ青の次は真っ赤じゃないですか。ころころ変わって面白いですね? カメレオンみたいです。恥ずかしいんですか?
「えーっと、おばさん、さっきのは冗だ――――」
「あぁ、桃花には悪いと思っている。都合の良い女だんなんて思ってないさ」
「ちょっ! お兄さん何言ってんの!!」
俺は考える。このまま誤解を解くより、桃花を反省させるために、もういけるところまで懲らしめてやろうかと思った。
だって聞いた? さっきこの子「インターホン鳴らしてない」って。バカじゃないの? 鳴らさずにあんなこと口走ってるからこういう目に合うんだよ(笑)。
なに、別に桃花ちゃんの反応が面白くて、仕返ししたいわけじゃない。ないったらない。
「桃花ちゃんっていうのね。うちの子が迷惑かけたってこと、ちゃんと理解しているから安心して」
「安心できないです。不安しか残らないです。聞いてくださ――――」
「桃花かはな。こんなダメ人間な俺になんでもしてくれるんだ。お料理だったり、下の世話だったり」
「っ?! このクズ野郎! 私はそんな子に育てた覚えはないよ!!」
「ま、待ってください。お料理はまだしも、し、しし下の方はヤっ――」
「いいんだ、桃花。正直に言ってくれ。俺が、お前にどんなことをさせたかをさ」
やっべ、超楽しい。これ新手のセクハラだよね。でも1つだけ欠点がある。それは、
「このバカ息子っ!」
「へぶっ!!」
楽しいけど、加減間違えると母さんから怒りの鉄拳をくらうことだな。
「わわわ、すみません、何もしてません!! お兄さんには何もされてません!!」
「いいのよ! 桃花ちゃん、バカ息子をかばわなくて」
「おい、桃花! 俺とシたこと忘れたって言うのか!!」
「お、おおおお兄さん!! 私が悪かったから!」
駄目だぁ。まだ足りん。
「か、母さん! 桃花のお腹に耳を当ててくれ、俺の子を身籠ってるはずだぁ」
「なっ?! 避妊すらしてないというの?! このバカ息子のバカ息子は!!」
すごいな、重複しているようで掠ってすらいない単語だよそれ。なにバカ息子のバカ息子って。略してち〇ぽだよね?
はは。というか、母さん聞いてよ。あなたの息子、童貞で相手をママにしましたよ。.........涙がちょちょぎれますね。
「お、おおおおばさん、やめてください!! それに私、処―――」
「ごめんね! でも私には聞く義務があるから! じっとして!」
「お、おぉ」
そう言われて、お腹当たりの服をめくられる桃花ちゃん。
なんて可愛いお腹なんすか。さすが日頃、部活で頑張ってる良い身体だね!! お兄さん眼福だよ!! 思わずバカ息子も元気になりそうだよ!
「う、うぅ。お兄さんに見られた........お嫁にいけないよぉ」
「安心して桃花ちゃん。こいつには責任とらせるから」
「おう、身籠ってたらの話な。それなら全力で責任とるわ。桃花ちゃんなら俺、愛し抜ける自信あるし」
「っ?!」
顔がさっきからずっと赤い桃花ちゃん。原因は俺である説。
俺はここでネタばらしをする。あー楽しかったぁ。
「へぶっ!!」
案の定、母の制裁を食らう俺。
「うぅ...ひっく........」
「悪いと思うけど、そんなに泣く? 一瞬でもママになれたんだから、貴重な体験だと思って喜んで?」
「あんたいつか通報されるよ、絶対に」
はは。この前、大都会でされましたよ母さん。
桃花、これに懲りたら、もうアレやめよーな? はぁすっきりしたわぁ。倍返しした気分だぜ。
「で、結局なにしに来たん?」
「.........おかず。..........はい」
「お、おう。なんか悪いな」
今までイジめてきた背徳感がどっと押し寄せてきた。いや、でも一瞬ママになった子からおかずをもらうって新鮮な気分だわ。
「..........帰るね」
「き、気をつけてな」
「隣だし.....」
そうだね。ごめんね。やりすぎたよ。
「え、佐藤さんのお孫さん?!」
「はい.....」
完全に元気を失っている桃花ちゃん。スマホで写真撮っていいかな? 一生のネタにできるし、ぜひいろんなアングルから撮りたいんですが。
『ガチャッ.....バタンッ』
「.......さて、母さん、飯にするか」
「あんた食い終わったら説教だから」
ですよねー。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます