第三七一食 旭日冬夜と幸せを守る魔王
★
うちの娘に彼氏が出来た――それを知った時、俺がまず考えたのは「どうにかしてその男を呪い殺せないか」ということだった。
だってそうだろう。片やうちの世界一美人な嫁さんの遺伝子を受け継いだ世界一可愛い娘、対するはどこの馬の骨とも知れない野郎。どう考えても釣り合いが取れていないじゃないか。
そもそもうちの娘・
だというのに、そんなまだ幼い我が天使の心を
しかし
『お兄さん、すっごく優しい人なんだ』
あの夏の日、その男と二人きりで会うことを禁じようとした俺に、真昼は一粒の
分かっていた。俺と母さんの娘がひどい男に
だが俺は母さんのように、真昼が信じる男ならばと二人の関係を手放しに認めてやることは出来ない。人の
親に子の恋愛へ口を出す権利などない。だが
一時の感情で一生
後悔は決して先に立たない。傷付き、気付いた頃にはいつだってもう手遅れだ。俺は真昼にそうなってほしくない。大切なあの子には、少しでも長く笑っていてほしい。
家の前には見慣れない二輪車が停められ、中からはかすかに話し声が
「(なんだか魔王にでもなった気分だな……)」
それでも娘の幸せのためならばと、俺は知らない場所になってしまったかのような自宅へと足を踏み
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