第二八九食 シュクダイエンザとスキャンダル②
「もうやだあー、疲れたあー……なんでせっかくの冬休みなのに、こんな真面目に冬休みの宿題しなきゃなんないのー……」
二時間前に突然始まった
疲れた
「もー、さっさと写してまひるんと遊ぼうと思ってたのになあー」
「だーめ。亜紀ちゃんをあんまり甘やかしたら私がひよりちゃんに叱られちゃうもん。それに二学期から勉強も難しくなってるし、宿題はちゃんとやった方がいいよ」
「あれ、学年上位のまひるんでも難しいとは思ううものなんだー? なんか意外だねー、中等部の頃からいっつも涼しい顔して一〇〇点とかとってたのにー」
「そ、そんなことないよ。テスト勉強を頑張ってたってだけで……」
「まーそれもそうかー、勉強しないで点とれたらテストの意味ないもんねー。うげっ、テストと言えば、学校始まったら期末の返却もあるんだっけー? やだなー」
「うっ……うん、そだね……」
「?」
なぜか少しだけ目を
「……まーいいか、勉強の話なんてつまんないよねー。んふふー、それよりまひるん、あの話してー?」
「えっ? あの話って?」
「決まってるじゃん。おにーさんとのラブラブカップル生活の話ー」
「ぶっ!?」
「もう付き合って一週間くらい
「ど、どこまでってなに!? あっ、もしかしてデート!? デートの話だよね!?」
「んなわけないじゃん、そもそもまひるんとおにーさんが行くデートスポットってありきたりでつまんなそーだし」
「突然の悪口っ! そ、そんなことないもんっ、まだちゃんとしたデートには行けてないけど、いろいろ予定は立ててるんだからねっ!? 映画館とか遊園地とか、水族館とかっ!」
「どれもありきたりじゃんかー。いいよ、そんな誰にでも聞けるようなどーでもいい話、マジで興味ないしー」
「今ハッキリ『興味ない』って言った!?」
「ひどいよ亜紀ちゃんっ!」と目尻に涙を浮かべる真昼。どうやら彼女なりに一生懸命調べて
そして亜紀は、真昼が
「『どこまで』って言ったら当然、〝恋愛のABC〟の話に決まってるでしょー」
「え、えーびーしー……?」
「あれ、純情乙女まひるちゃんは知らないー? よーし、それじゃあおねーさんが教えてしんぜようー。Aはキス、Bは
「ももももう分かったっ、だいたい分かったから説明しないでっ!?」
「あははー、まひるんってば顔真っ赤ー。かーわいー。ちなみにABC以外にもDEFGとかHIJKもあるらしいんだけどー――」
「言わなくていいってばっ!?」
からかうようはニヤニヤ笑いを向けてくる友人に、真昼は発熱した頬をペチッと両手で
「それでー? おにーさんとはABCのどこまでいったのー? 今までに何回くらいちゅーしたー?」
「最低一回はしてるみたいな言い方しないでっ!? ま、まだしたことないよっ!」
「へ? じゃああちこち触り合いっこしたりとか、一緒にお風呂に入ったりとかは?」
「そっ!? そんなことしたことあるわけないでしょッ!? 何言ってるの、亜紀ちゃんのばかあっ!?」
「二人ともほんとに大学生と高校生のカップルなのー? そりゃCまでいってるのが普通とは言わないけど、一週間もあってなにもないとか……はあ……」
「ため息っ! な、なんで私たちが悪いみたいになってるの!? 別にいいでしょっ!?」
「いや、まーいいけど……でもえっちなこと一切しないんならまひるんたち、なんのために付き合ってんのー? それ友だちと変わんなくないー?」
「好き同士だからだよっ! 男の子と女の子がみんなエッ……なことをするためだけに付き合うわけじゃないんだからねっ!?」
「わー、
そう言いつつ、スキャンダル好きな女子高生は「でもやっぱそれじゃつまんなーい」と足を放り出して笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます