第二八五食 リア充たちとキスの話②
「
「フツーそんな直球で聞く? デリカシーないなあ」
「あぐっ!? そ、そうだよね、ごめん」
「いいよ、まひるがなにかとズレてるのなんて今さらだし」
「それはそれですっごく複雑だけど……」
苦笑しつつ、カチャカチャと品のない仕草でカップの中身をかき混ぜる眼鏡少女の言葉の続きを待つ。
雪穂と
「ま、ぶっちゃけしたことあるよ」
「! あ、あるの!?」
思わず身を乗り出してしまう真昼に、雪穂は「自分から聞いといて何驚いてんのさ」と笑う。
「まだ二回だけ、しかも私からの不意討ちなんだけどねー。クリスマスの時と、
「ふ、ふへ~……す、すごいね、雪穂ちゃん」
「あははっ、なにがすごいのさ。言っとくけど、そんな
「悔しいわ」と言いつつ、自らの唇にそっと指先を
もし
「……まひる、あんた今『私がお兄さんとちゅーしたら……』みたいなこと考えてるでしょ?」
「ッ!? な、なんで分かるの!?」
「なんでじゃないわ、顔に出過ぎだっての」
呆れたように
「なんでいきなりこんなこと
「いぐっ……!?」
「これも
「か、からかわないでよっ! ま、まだちょっとしてみたいなーってだけだしっ!?」
頬杖をつきながらにやにやサムズアップしてくる友人に、真昼は顔を真っ赤にして反論する。しかし眼鏡少女はそんなものどこ吹く風で、片手をひらひら振りながら適当っぽく返した。
「したいならすればいいじゃんか、もう恋人同士なんだし。なに、もしかしてまた
「ち、違うよ。お兄さんにはまだなにも言ってないし……というか言えるわけないでしょ、『キスしてみたいです』なんて!?」
「いや、だからしたいならすれば? 直接お願いするのが恥ずかしいなら私みたいに不意討ちするとか……あ、そうだ。あんた合鍵持ってんだから、それ使って寝込みでも襲ってみれば?」
「いくらなんでもそんなこと出来ないよっ!? そ、それにいくら私がしてみたいからって、お兄さんがしたいと思ってないならワガママ言いたくないし……」
「あのねえ、付き合ってる相手にまでそんな気遣ってどうすんのよ?
「そ、それはそうだけど……」
少女は
たしかに雪穂の言っていることは正しい。
「(で、でもお兄さんもキスしたことないって言ってたし、それってつまり私たち、どっちもふ、ファーストキスってことで……そんな大事なもの、私がしてみたいからってだけで奪っちゃっていいのかなあ? そもそもそう思ったきっかけ自体、あの恋愛映画でしてるのを
口元を押さえながらぐるぐると瞳を回して考え込んでしまう真昼に対し、雪穂は「もしかしなくてもあんたら、似た者カップルだね……」と呆れ顔で
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