第二五三食 うたたねハイツと忘年会④
その多くが水中、特に海水域に
「いやったあああああっ! カニなんて超久々なんだけど私っ!?」
そんな
「か、カニって、いったいどうしたんだよこれ?
「バイト先の店長から貰った」
「ええっ!? バイト先……って、なんでケーキ屋の店長がカニくれんだよげふぁあっ!?」
「お、お兄さーーーんっ!?」
驚きのあまり、蒼生の前では言わない約束の情報を
どうやら雪穂と手を取り合って小躍りしているイケメン女子大生の耳に〝ケーキ屋〟の単語は入らなかったようだ。しかしそれでも不機嫌そうにフンと鼻を鳴らした
「と、とにかくどうもありがとう、
「うるせェ、手ぶらで他人の家に上がり込むほど恥知らずじゃねェだけだ。オレ一人で食える量でもねェし」
「え? 二杯くらいなら一人でもぺろっと食べられるんじゃ?」
「
真顔で言った食いしん坊に千鶴がツッコミを返したところで、蟹を指先でツンツンとつついて遊んでいた
「せっかくだから早く食べようよー、話は食べながらでも出来るでしょー?」
「あン? ……ゲッ、よく見たらテメェ、あの時のクソガキ……!」
「やっほー、〝ツンデレおねーさん〟」
「誰がツンデレお姉さんだッ!? 勝手に変なアダ名付けてンじゃねェッ!?」
「えー、だっておにーさんからのお誘いを
「だから
「あれでしょー? 普段ツンツンしてるせいで素直に『行きたい』って言えなくてー、でもそこでまひるんが『来てください!』って言ってくれたお陰で『し、仕方ないなあ』って顔して
「このクソガキ、好き勝手に妄想してンじゃねェぞ!? あァクソ、こんな所に居てられっか、オレァ帰るッ!」
「なに死亡フラグみたいなこと言ってんのー? それに一度入ったからにはもうこの部屋からは出られないよー、ねー雪穂?」
「ふっ、そういうことです
「わー!」
「ぐおおッ!? な、なにしやがるテメェら、離しやがれっ!? つーか雪穂、お前までどういうつもりだァッ!?」
二人揃うと悪ノリが加速することでお
結局粘着質に
「……よっし、じゃあせっかくだから
「んー、一応知識としては知ってるよ。実際にやったことはないけどね」
「じゃあやり方教えてくれ。あ、お前はもう包丁持つなよ? もうだいぶ酔ってそうだし」
「え……やーんっ、
「キモい」
「ねえせめて最後まで言わせてくんない!? もはや単なる悪口だし!?」
「むっ……あ、青葉さんっ、あんまりお兄さんとイチャイチャしないでくださいっ! も、もっと離れてっ!」
「いや絶対そんな嫉妬心燃やす場面じゃないよね真昼ちゃん!? さっき雪穂にも言ったけど、キミたちの感性ちょっとおかしくない!?」
距離が近い青年とイケメン女子大生の間に真昼が割り込み、三人で再び台所へ舞い戻る。そして袋の中から
よく〝カニは人を無言にする〟と言うが、二〇六号室は無言になるどころか更に鍋戦争が白熱。
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