第二四九食 JK組と大晦日
★
「――それでね、朝からお兄さんと二人でケーキ焼いて……ちょーっとだけ失敗しちゃったんだけど、でもすっごく美味しくてねっ! ひよりちゃんたちとのパーティーとかアルバイト先で食べたケーキと同じくらい美味しくって、私一人で半分くらい食べちゃったらお兄さんが『そんなに甘いものばっかり食べられるなんて、やっぱり
「うん、その話、クリスマス当日の夜からもう二〇回は聞いてるから……」
「あははー。まひるんってばよっぽど楽しかったんだねー、おにーさんとのクリスマスー」
「もうこれ言うのも飽きてきたけど、どんだけ〝お兄さん〟のこと好きなのよ、この子……」
一二月三一日――
あちらこちらにぴかぴかと電飾が輝いていた華々しい聖夜の残り
しかしどうやらそんな年末の空気も、年賀状世代でない現役高校生にはあまり関係がないらしい。手にしたエコバッグを揺らしながら一週間前の出来事を繰り返し話す真昼と、思い思いの表情を浮かべる友人たち。まさしくいつも通りの光景である。
「まったく……まひるってば
「
「雪穂は蒼生さんとデートしたんだっけー?」
「ふふん、そうよ! 素敵な公園でお散歩デートして、お買い物して、プレゼント交換してー……夜は私の家でパーティー! どう、羨ましいでしょ!?」
「いや別に――」
「羨ましいでしょ!?」
「……そうだね」
「ひよりん諦めるのはやー」
続けて惚気話を聞かされてうんざりしたようにため息を
「雪穂は公園デートだったみたいだけどー、まひるんの方はお出掛けとかしなかったのー?」
「あ、うん。お兄さんは『折角だから映画でも観に行くか?』って誘ってくれたんだけど……私が『いいです』って言ったから」
「え、なんでさ? いいじゃん映画デート、
「なんで断っちゃったのー?」
「だ、だって……お、お兄さんと二人きりで居たかったから……」
もじ、と左右の人差し指を合わせながら恥ずかしそうに言う真昼。すると亜紀と雪穂の二人は一度顔を見合わせた後、揃って「ひゅう~っ!」と冷やかすように口笛を吹いた。
「よっ、流石まひるちゃんっ! 純だねえまったくこの子はっ! ねえアキさん!?」
「いやいや雪穂さん、クリスマスに『二人きりで居たい』は一周まわって
「!? な、なんでそうなるの!?」
「まひるん知らないのー? イヴの夜からクリスマス当日にかけての六時間のことを〝性の六時間〟って呼ぶんだよー」
「せぃっ……!?」
「どういうことかって言うとー、要するに一年の中でもその六時間が一番たくさんえっちあいだあッ!?」
「アキ、あんたことあるごとにひまに変なこと教えようとするの
ひよりの
「私ら四人と蒼生さんと……あと
「あ、うん。
「なにそれ悲しすぎない? えー、千歳さんにはバイトでお世話になったし、せっかくなら来てほしいけどなあ」
「そうだよね。うん、あとで私からも連絡してみるよ」
「ねーひよりーん、あとで一緒にコンビニアイス買いに行こー?」
「はあ? あんたね、欲しいものがあるなら先に言いなさいよ。今スーパーで買い物してきたばっかりなのに」
「あははー、だって今食べたくなっちゃったんだもーん」
その
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