奥さんは何食わぬ顔をして、心を嫉妬の炎で焼いていたのですね。
ただ、素直な性格じゃなかっただけで、普通の人だったのかな。
源氏の正妻、葵上を思い出しました。あっちも不幸な女の人。
作者からの返信
何が一番許せないかって、数十年連れ添った夫の心を奪ったのが、ぽっと出の、しかも自分より遙かに劣る容姿の小娘だってことですよね~。男も女も、自分より格下のやつに敗北するのは悔しいけれど、女の場合はこと「色恋」が絡む「容姿」に関することではその傾向が如実に出ると思いませんか? 私だったら絶対に許せません(笑) しかもその小娘が、長い事良家の娘としてまた良い妻たるべく努力してきた自分よりも、遙かに楽な環境に置かれているときたら……大噴火しちゃいますよね!!! 更にその激怒には、自分が浮気を気づかないとでも、夫と夫の浮気相手の小娘の双方に侮られていたのかという怒りも混じりますし……。
この妻は葵上よりも素直さがない性格をしていますが、心の奥底の想いに気づいてほしかったのです。だからこそ、成人した息子がいるにも関わらず自分を裏切った夫を殺しはしなかったのですが、この夫婦はこの後どうなるのでしょうかねえ……。
鬼が、そして妻が欲したものが本当は何だったのかわからないのもまた味があっていいですね。
鬼は公家のもとに帰りたかったのか? それとも豊かな京の暮らしが恋しかったのか?
妻は夫のただひとつの愛が欲しかったのか? それとも美しい自分の地位が、あるいは自信が損なわれるのを厭ったのか……
いずれも女の情念、いえ怨念ですね。怖い怖い。
作者からの返信
うふふ。実は、この話は鬼女紅葉伝説から思いついた話ではなくて、「紅葉に関する話何か書いたろ!」→「そうじゃ! 紅葉に関する伝説はないのか調べるんじゃ!」という経緯で知った話で、作中の伝説のあらすじはウィキ大先生ととあるホームページを参考にしています。で、そのホームページの記載でも、どちらともつかない感じだったんですよねえ。でも私は、どちらかといえば、紅葉は京の暮らしが恋しかったのだろうと感じました。しいてどちらかといえば、ですが。
これ、男女別にどう感じたのか統計取ったら、男女で全く結果が違いそうですよねえ……。そして、女側の結果は「京の暮らしが恋しかった」の方が多くなりそう。安定した、裕福な暮らし。それが、大多数の女が真に望むものだから。……しゃしゃさんは、一体どちらだと感じられましたか?
同じように、もしもこのお話の感想を男性から頂けるのなら、「妻は夫の愛を欲したのだろう」という感想の方を多く頂けるだろうなあとぼんやり思っています。なぜなら女よりも男の方がロマンチストだから。書いた私もこの妻の心情はきちんと理解できていないし、そも心、特に女の心情というものはすっきりこうだと割り切れるほど単純なものでもないのですが。
ふおおおっ! これも情念。そして嫉妬。
奥様も普通の女性。
やはり、男は浮気はバレぬものと思う単純な生き物……なのか💧
作者からの返信
もしも恋人や配偶者に浮気をされたら、裏切られたということよりも「私がそんなことも気付かない程度の存在だと高をくくられた」ことに怒るかもしれない。また恋人なり配偶者を愛していた場合、いっそ浮気相手が何もかもで自分に勝るのならいっそ納得できるかもしれない。でも逆に容姿においても才覚においても自分より下の存在だったら、却って怒りを覚えるかもしれないな……。
と、ぼんやり考えたことから本作は生まれました。いやほんと浮気って、裏切られた、だけではすみませんよね。女のプライドがかかってるから……。