第50話 アイテムリザルト

 別館に帰って、少し休憩していた俺とその膝の上から降りないまな。

 最近のコックとの食改善成果となるガーリックトーストを用意する優香。

 有閑な午後の様子だが、実際は詳細な報告に行ったポールと侯爵家としての対応を相談しているロッド翁がこっちに来るのを待っている現状だ。

 眠いしダンジョンの宝物庫から持ってきたアイテムの整理もしたいんだが、ロッド翁と打ち合わせを優先した方が良い…。

 別に少し整理する分には問題ないんじゃないか?


「まな。少し降りて。

 マジックバッグの中身を整理するから」

「うん分かった!

 私も中身が気になるし!」

「よし。それじゃあまずはマジックバッグの中に入れてある6個のマジックバッグを取り出して…」


 最も収納量の多い60個収納出来るマジックバッグの中には、

マジックバッグ×6

財布用の布袋×1

王冠×2

ブレスレット×7

ネックレス×7

ブローチ×26

イヤリング×5組(容量10)

フュージョンリング×1


 が入れてあった。

 取り出したマジックバッグに番号をふりつつ中身を整理する。


マジックバッグ1 52個収納

スキルジェム×28

スクロール×12

宝石類×12


マジックバッグ2 55個収納

シルフィンブーツ×2組(容量4)

レジストアーマー×2組(容量10)

戦神の重鎧×1(容量10)

火鼠の法衣×1

聖騎士の戦衣×3

怪力の腕輪×6

神速の腕輪×3

慈悲の腕輪×2

賢者のサークレット×2

獣化の腕輪(獅子)×3

獣化の腕輪(狼)×1

宝石類×10


マジックバッグ3 51収納

高品質応急回復薬×11

高位回復薬×2

中位回復薬×21

魔力回復薬×5

鬼の丸薬×6

猿の丸薬×4

鳳の丸薬×2


マジックバッグ4 57収納

忠騎士の腕輪×8

癒しの腕輪×8

ハイゴブリンの魔石×41


マジックバッグ5 55収納

ハイゴブリンの魔石×55


マジックバッグ6 54収納

ハイゴブリンの魔石×54


「ハイゴブリンの魔石ばっか!」

「しょうがないだろ?

 本当は戻れるまでの3日間でこのフュージョンリングを使って、ハイゴブリンの魔石から魔晶石を作る予定だったんだ」

「魔晶石?」

「魔石を融合して結晶化したアイテムで魔力を蓄えておける充電池だ。

 …これがそうだな」


 懐に入れておいた水色の水晶モドキを取り出す。


「これは宝物庫にあった物だが、既に俺の魔力を充填してある。

 これの充填量は40」

「これだけでファイアボールが8回も射てるの?」

「そうなる。

 まあ込められているのが俺の魔力だから、これは俺にしか使えないが…」

「役に立たないんじゃないの?」


 呆れた顔の優香にどや顔を向けた。いつまでも脳筋キャラだと思うなよ!


「俺もついに攻撃魔法をゲットしたから心配無用だ」

「魔法?」

「うむ、魔術とスキルの中間みたいな物だな。

 俺は今、竜の咆哮と言う攻撃魔法を使える。

 広範囲に衝撃波を放つ便利な魔法だ!」


 まな相手に胸を張るが、


「……ゲームだとすごいけど」


 微妙な顔をされた。

 なぜ?


「どうした?」

「例えばだよ?

 それって私達にはダメージないの?」

「……あ」


 現実では役に立たないことが判明。


「…それはまなに上げなさいな」

「……そうだな」


 気を取り直して、


「これはまな用として、同種の魔石を30個消費して1つの魔晶石が作れる。

 作った魔晶石の性能は材料となった魔石の種類で決まるらしいので魔物を狩る理由が増えたな」

「そうね。私もそうだけど魔術を利用する人間には必需品になりそう」

「そうだな。

 それにこれが市場出回れば魔術師の価値が高騰しそうな気がする」


 これまでは数発の魔術を射って息切れしていた奴がその倍の活躍出来れば価値も跳ね上がるだろう。


「スクロールは飛翔が4つと収納2つ。遠視が1つと火葬が2つに火槍が3つ」

「カソウとカソウ?」

「冗談のつもりだったんだが…。

 フライが4つとアイテムポケットが2つ、スコープが1つに、イニシレイト2つとフレイムスピアが3つだ」

「火葬場のカソウと炎の槍のカソウを掛けたのね?」

「ああ。

 このスクロールをみつけた時からやろうと思っていたんだが…」

「つまんない」

「本当に…」


 宝物庫から準備していたネタは娘にも嫁にもウケが悪かった。


「…あのダンジョンは何かの実験施設だったのかもしれん。

 アンデッドが出るダンジョンの最深部にイニシレイトのような対アンデッド用の攻撃魔術。

 それにこの王冠」


 一番大きいマジックバッグに入れていた物を取り出す。


「これは『死王の宝冠』ってアイテムだがな。

 これを被って、この『冥府の呪宝』と言うブレスレットを身に付け、自らの心臓を貫くことでアンデッドの1種ノーブルバンパイアに転生出来るらしい」

「呪いのアイテムじゃない!」

「どうだろうな? 吸血貴族だぞ?

 むしろ一部の不老不死を望む者には祝福だろう」

「…権力者とかの?」

「ああ。しかもこの獣化の腕輪みたいに変身能力を使えるようになるアイテムまであることを考えるとな…」

「…昔の権力者の私的な実験場かしら?」

「少なくとも俺はそう思った」

「そう…」

「後は…」


 スキルジェムの話をしようとした所で、コンコンとノックが響く。


「…後回しだな。

 入って良いぞ!」

「失礼します。

 旦那様がお会いになるとのことですが…」

「すまんが会いに行ってくるよ。

 また後でな」


 家令のセイルが口を濁す様からまなに聞かせない方が良い話と判断して助け船を出した。

 2人に断ってロッド翁の執務室に向かうことにした。

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