第48話 魔竜と腐竜
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名前 トージェン 性別 なし
種族 ドラゴンゾンビ
レベル 28
能力
生命力 2368/2368
魔力 1601/1601
腕力 760
知力 0
体力 796
志力 0
脚力 302
スキル
技能 自己再生
腐食ブレス
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リッチの代わりに現れたのは、ドラゴンゾンビと言う化け物。
30メートル級の体躯を持ち、圧倒的な生命力と攻撃力を持つ強力な魔物だ。
動きが遅いのが救いだが、ブレスを吐かれたら死ぬ。
何より、
「本当に勘弁してほしい…」
超臭い。
ドロドロに爛れた皮膚が動く度に、プシュ、プシュっと腐敗臭を撒き散らす。
「ひとまず、ホォォォ。
…ガァァァ!」
臭いのを我慢して息を吸い込み大声を上げる。
竜の咆哮!
「効くみたいだな」
明らかに怯んだ。
けど…。
表皮の一部が剥がれて、これまで以上の臭気を撒き散らす。
「ゲホォ! ゲホォ!
ぎもぢヴぁるい」
ショボショボする目を凝らして、生命力を確認すると2359。10ポイントも削れてねえ。
ゲンナリする俺に向かって噛み付きをしようと突進してきた腐竜を寸前でかわす。
300だからオークジェネラルより100以上も下なのに奴らより早い?
もしかして、体格分だけ早さの影響が違う?
…ヤバいなこれ。
あまり考える余裕もくれなさそうな感じだ。
「すぐに死ぬとかはなさそうだが、これはどう戦えば?
……ドラゴンと言えばブレスだよな。
コイツも持ってるし。俺も吐けるのか?
吐けたら良いな…」
現状そんな気配は欠片もないが…。
「通路の方に避難してステータスを詳しく確認するか…」
バックステップで警戒しつつドラゴンゾンビから徐々に距離を取る。
通路の脇まで来てすぐに逃げ込んだ。
「さてステータスを確認っと
…………これか」
打開策を見つけた俺が動こうとした途端に黒い煙が駆け抜ける。
…何だ?
「って痒いぃ!
超痒いぃぃ!」
全身が痒い。
髭剃りの後にわさび醤油を吹っ掛けたような痒みが身体中を駆け回る。
転げ回って痒みを解消する。
そのまま5分くらい転げてやっと痒いのが治まる。
「ステータス。
…状態異常に腐食。
今の黒いのが腐食ブレスか」
マジでキツいな。
生命力も20以上減ってるし、並みの人間なら即死じゃねえか。
「さて、現状の生命力が730くらい。
5分で80ほどの回復をしているから20分くらい耐えれば戦える訳だ」
通路を飛び出して、腐竜を睨み付けながら呟く。
そんな俺に必死に噛み付こうと向かってくる所を見るに腐食のブレスはあまり使いたくないのか?
いや純粋に知力0で。思考能力は既にないわけで、コイツはただ目の前の俺を攻撃するだけな訳だな。
「隠れるとブレスで燻されるけどな。
…まさか駆除される害獣の気分を味わう羽目になるとは」
左に回るように逃げ続ける。
円を描くことで逃げやすくなり、
その状態でしばらくおちょくってく。
…800、900、1000!
「きた!
竜化!」
生命力1000ポイントを代償に自身を竜と化し、『竜へ至る魂』の力を十全に使える10分の最強モード。
これが先ほど見付けておいた戦うための手段だ。
力を溢れさせる。
身体を黒いオーラが覆い、視点は腐竜の上に上がり視野は広くなる。
ダンジョンに満ちる魔力の流れがなんとなく分かる。
今までにない感覚、例えるならサーモグラフィのように魔力の流れが濃い部分は明るく、少ない部分は暗いと感じる。
「アァァ!」
始めてドラゴンゾンビの吼える声を聞いた。
今までは俺をただの獲物くらいに思っていたのだろう。
それが同種となり、警戒心を持ったと言うところか?
はっきり言って遅い!
喉の奥に力を溜めて、ガァァァ! と吐き出せば炎の塊がドラゴンゾンビの身体を焼く。
「ルラァァ!」
痛みに絶叫を上げるドラゴンゾンビ。
先ほどからの変な発声を聞くに喉の一部に穴でも開いているのか?
ブレスを吐きたくないわけだ。
そんなドラゴンゾンビの生命力を確認すると、
「一撃で600強も削ったか。…とんでもないな」
奴の生命力は1800を下回っていた。
かなり余裕で倒せそう。
もう一度ブレスを……。
「ガァ…。アアァ?」
炎が出ない。
どうなって?
「生命力を消費している…。
ブレスは生命力を消費すると言うことか」
……つまり、肉弾戦をしろと?
この腐肉の塊と?
ハァァ…。
本当にこの世界って俺に優しくない。
「躊躇している間にもジワジワ生命力が回復してるもんな!」
まあそれは俺も同じだけど…。
奴の噛み付きに合わせて、こちらもカウンター気味に噛みつ…。
…ウッ、ウッへッ。
苦いクシャい、超キモいぃぃ!
「ううぅ。口の中にが苦い……。粉薬をダイレクトになめたみたい。
……だが俺の鱗は引き裂けないらしいな」
黒曜石を並べたような鱗は一切のキズもなく、輝きを放っている。
比喩でなく魔力感知器官の感覚で本当に光ってると感じてるんだが。
ステは?
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名前 鷹山祐介 性別 男
種族 人竜(火竜化)
レベル 10
能力
生命力 131/3912
魔力 3967/4518
腕力 1599
知力 1010
体力 1592
志力 1462
脚力 1011
スキル
技能 鑑定(8)
解析(2)
剣術(12)
ファイヤブレス(1)
ユニークスキル
竜へ至る魂(60)
アビリティ
竜の心臓(ー) 竜の鱗(0)
竜の瞳(0) 竜の爪(0)
竜の翼(0) 竜の角(0)
エキストラアビリティ
人化(0)
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圧倒的なラスボス感!
見た感じ竜化でステータスは知力と脚力除いて倍。
それにユニークスキル上乗せ分の500かな?
ゼロってのは効果が発動しないアビリティか?
ファイヤブレスの能力は…。
「生命力を消費して竜の業火を吐き付ける技能スキル。
溜めた生命力分威力が上がり、比例して生命力を消費する…」
ダメじゃん!
竜化で生命力を1000も消費してるのに更に生命力をチャージ分消耗するとか怖くて使えねえ!
…ステータスは圧倒的に勝ってるし。
「にゃろ。この、この!」
身体を捻って尻尾で叩く。これが一番精神的な(ここ重要)ダメージが少ない。
そう言えば昔のマ○オでタヌキになって敵をシッポアタックで倒していたな。自分でやって始めて分かったが、…あれ、えげつないな。
一回で生命力300くらいずつ削ってる。2回でブレス一回分やないか。
尻尾の先が意外と敏感で気持ち悪いけど…。
「アアァァ…」
ドラゴンゾンビも結構な時間粘ったけど、静かに哭いて息を引き取っていった。
10分の制限時間ギリギリ。
疲れた。
…マジで倦怠感が酷い。
体力は153?
竜化中の回復分は無効と言うことか?
これは使い処を間違えると解除直後に殺されるな。
リユースタイムは3日? これは問題ないな文字通りの切り札だ。
さて、先に進むか?
ダンジョンマスターを倒したのだから、これ以上の強敵は現れないだろ。
と、キュゥゥと腹の虫が鳴く。しばらく食事も取っていなかったからな。
まずは腹ごしらえだ。
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