第17話 消耗品
最悪の日々の不意の優しさに
ほだされる自分の弱さが憎い
泣く場所はココかなんて
そんなはずはない
こんなはずじゃない
最低な日々の突如の光に
晴らされた気分になる自分の浅はかさが憎い
笑うに相応しい時かって
そんなはずはない
こんな場合じゃないって
与えられるものの軽さに
薄っぺらさに
それでもそれが善きことならいいじゃないなんて
嘯くだけの心がない
放り投げられたものの軽やかさは
それだけ貴方のお手軽な善意で
消耗品な心なんていらない
消耗される一方の私の心に
それらはすべてうわ滑るでしょう
分かっている、解っていた
それでも訪れる刹那の温もりを
求めていた気になって
納得した気になって
気がついたら呑み込むばかりの心内
腹の底に堆積する重たさの行き場がない
気安く投げかけられる心のすべて
それらは等価値ではないだろって
誰にも投げつけられない言葉がつのる
期待なの?嘲りなの?
ご都合主義なの?気休めなの?
貴方の自己満足と私の苦痛
貴方の憐憫と私の悲痛
消耗されるばかりの日々に
対価は支払われないとわかっているのに
先が見えない日々のかすかな期待に
今日を越えようとする自分の強さが憎い
居場所はココかって
そんなはずないって
震えながらもあと一歩
終わりが見えない日々の僅かな安堵に
明日を迎えようとする自分の強かさが憎い
相応しい場所があるって
泣いてる場合じゃないって
目を見開いてもう一歩
消耗された心を繋ぎ合わせて
互いに消耗品だと開き直った
投げつけたのはお互いで
相応しくないのもお互い様で
それでもなんとかと抗う隣人だから
私は此処で立ち続けるでしょう
憐憫と傲慢を横目にしながら
貴方の手はとらないと
ー私の手も取らないでと
冷淡な優しさで繋ぐのだ
私と世界を繋ぐのだ
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