第16話 虚勢

今日の気持ちが空(クウ)になる

誰に誰にと問う心

伽藍堂なのはなんだって

誰よりも自分が自分を見放す

貴女の気持ちは?伝えたいことはって

それを問う貴方は何者なの

言いたいことは?貴女の考えはって

それを問う貴方は何ができるの

問うことが意味だと言うなら

その無意味さを私は笑おう


事なかれ主義の揺蕩う理論

訳知り顔の神妙面

きれいな言葉はうんざりするほど

きれいな表情(カオ)も呆れるほど

その虚しさに私は目を伏せ

詮無きことだと言葉を閉じた

これは空の時でしょう

それは無の日々でしょう

ひび割れた視界は何も映さず

此の薄闇が世界だと謳う


生き急ぐ、焦燥感

どこに行くかが分からなくても

この足は動くでしょう

死に急ぐ、虚無感

どこにも行き場がなくても

この足は立ち止まれない


それは明日をも殺す孤独論理

誰に誰にと問うのも飽いた

私に私にと責め立てる衝動

意味がほしいの、意味が虚しいの

例えばこれが絶望的な終わりでも

望みが絶えるに相応しいワケを

意味が必要なの、意味しかいらないの

例えばこれが私を殺すものでも

せめてそのひとかけが大切だったと嘯くだけのワケを


跡に残る虚しさを、


それでも、いいって笑っていたい


跡に残るキズアトを、


それでも、跡だと胸を張って


伽藍堂な心のまま

私は空に笑うでしょう

虚しさが堆積する中で今

私は立ちすくむこともできないから


誰の声も届かない

誰の言葉も空虚で満たして

この虚勢が全てだと

唇を吊り上げて笑うのだ

崖っぷちのいただきで

足場のない生き方で

この虚勢が私だと


目をつり上げて、笑うのだ










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